ガーデナ市バス:小東京乗り入れ中止か、運行100年、問われる公共バスの役割

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公聴会でバスサービスの変更提案を説明するガーデナ市交通局のジャック・ガビッグ局長(後方中央)=20日夜、ガーデナ市議会ホール



 日本人、日系人が多く暮らし、日系マーケットやレストランなども多いガーデナ市の市営バス路線のうち、ライン1の小東京(ロサンゼルス)乗り入れ中止が提案されている。5路線ある同市営バスラインのうち、多くの高校生が利用しているライン4の廃止も同時に検討されており、こうした運行サービス変更に関する公聴会が20日夜、ガーデナ市のシティーホールで開かれた。バスの利用者やドライバーら200人余りが出席、発言席では30人以上が意見を述べたが、サービス縮小に反対する意見が大多勢を占めた。

 公聴会の冒頭、ガーデナ市交通局のジャック・ガビッグ局長がサービス変更提案の背景を説明。昨年9月から今年の2月まで、交通専門のシステムアナリストを雇い、調査・研究を進めたことを明らかにした。その上で、過去20年を見るとライフスタイルが変化して、バスの利用者は減少傾向にあり、財政面を考慮する必要性が強まっていることや、運行時間の正確さなどサービス面でクオリティーの向上を図ることなどをライン1のサービス縮小やライン4の廃止提案の理由とした。
 また、縮小や廃止される路線の代替案として、ライン1の利用者はロサンゼルス広域運輸システム(メトロ)のシルバーラインを利用すればロサンゼルス・ダウンタウンまでの時間が短縮されるとし、ほかにトーレンス市営バスの利用も可能だと述べた。ライン4の利用者は、ライン1と2が利用できるとした。
 ライン2、ライン3、ライン5については運転間隔の短縮や路線を延長することなどにより、他の公共交通網との接続が容易になると説明し、サービス変更提案に理解を求めた。
 
厳しい反論続出
 

公聴会で意見を陳述するバス利用者(左)=20日夜、ガーデナ市議会ホール


 これに対してバス利用者らは次々に反対意見を陳述。
 「シルバーラインに乗れば時間が短縮されると言うが、それは乗車してからの時間で、乗り場に行くまでの時間や乗り換えの追加料金、待ち時間などを無視した考えだ」「トーレンスバス停までの交通手段がない」「シルバーラインはファイナンシャル地区までの運行で、メインストリートを通って小東京に行く公共交通手段としてガーデナ市営バスに勝るものはどこにもない」「利用者サービスの向上を図ると言うが、実際は自分たち(市管理職ら)へのサービスが念頭にあるのではないか」「ガソリン料金が高騰しているのに、公共のバスサービスを縮小・廃止するのは社会常識に逆行している」「1940年にライン1が小東京に乗り入れを開始し、それ以前もパシフィック・エレクトリックラインが1918年からバスを運行し乗客を小東京へ運んでいる。約100年も続いているバス路線サービスを今なぜ廃止するのか。理解できない」「ビショップ・モンゴメリー高校に通う生徒たちの『通学の足』を奪わないでほしい」「バスドライバーとして20年間働いている。バスを頼りに生活している人びとがたくさんいることを知っているから、利用者をサポートしたい」「(局長や4人のパネラーに対して)雨の日も、風の日も学校、職場、買物に行くために、一度でもバスに乗って出かけたことがあるのか」「ガーデナ市で生まれ、少し足が不自由でも仕事に出かける69歳の父親に1時間も歩かせるのか」などの、現実的で厳しい意見、訴えが相次ぎ、ヒアリング会場となった市議会ホールは熱気に包まれた。
 ガビッグ局長はこうしたバス利用者の意見を聞き、「まだ最終的な結論は出ていない。来月の市議会で議論されてから決定する。決まった場合は8月から実施する予定」と述べ、皆の意見を市議会で報告すると約束した。
 ガーデナ市は現在、約80台のバスを運行させ、70人以上のドライバーが働いている。ロサンゼルス市南郊15マイルに位置する同市は、1930年に市制化され、当時から日系人が多く居住。ガーデナ高校には80年代ごろまで日系子弟が多く通っていた。
 現市長は日系のポール田中氏。日系市議としてロナルド池尻氏が務めており、これまで市長や市議に日系人が多く当選、全米で最も「日系色の強い都市」としても知られている。人口約5万8000人のうち約2割が日系人。1962年に千葉県市川市と姉妹都市関係を結んで、日本との交流も深めている。【石原 嵩】
 

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