ひまわりの咲く町、に

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 仙台の友人から、メールが転送されて来た。ボランティアの集めた家庭電化製品を、必要なら修理もして、仮設住宅に入る被災者のために届けている石巻の泉泰広さんからのメールだ。
 「…お言葉を頂いて真剣に考えた末、今後お願いしたいのが、花の種です。それもひまわりです」。ある日、物資と一緒にひまわりの種が届き、『きれいな花を咲かせて下さい』と添え書きがあったという。自宅に植えようかと思った泉さんがその翌日見たものは、避難所となっている小学校の花壇にロープを張ったり地ならしをしたりしている教師たちと、それを見て草取りを始めた避難所の人たちの姿だった。子供たちが作った花壇に出た芽は、あの地震のどさくさで踏みにじられてしまっていたのだった。「…そこで私は、届いたひまわりの種は避難所の小学校の校長先生に託したいと思いました。どうせなら、避難所でお世話になっている地域の皆さんにも、自宅の庭にひまわりを植えて頂いて、宮城県第2の都市石巻市全体を、ひまわりの街にしたいです。ひまわりのような街にしたいです。わがままを言うなら、いま欲しいのは『ひまわりの種』です」
 友人は、その泉さんのメッセージを、日本中に散らばる彼女の友だけでなく、かつて住んでいたシアトルの友人たちにも送ってきたのだった。
 アメリカから種を送るのはなかなか難しそうだが、日本の身内や友人にその旨を伝えることは出来る。「1袋でも2袋でもいいから」と連絡すると、福岡の妹も東京の従姉妹も、「よし来た」とばかりに仙台の友人あてに種を送ってくれた。同じようにして全国各地から集まった種は、友人の手で石巻の泉さんに届けられた。これから泉さんは、その種から苗を育て、地域の人々に配るつもりだという。
 大地震から2カ月あまり。家族や家、仕事、財産を失った人々にとって、これから先の道のりはまだ果てしなく長い。疲れて、絶望的になることもあるだろう。そんな辛さを、元気なひまわりの花が癒してくれる時があるかも知れない。
 被災地を思いつつ、私もまたひまわりの種を買い求め、わが家の庭にまいた。
【楠瀬明子】

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