ナーシングホーム「敬老」が今秋50周年を祝うにあたり、長く貢献してきたボランティア団体の名を壁に刻んで顕彰する、という記事を羅府新報で読んだ。
 実はシアトルにも「敬老」がある。正式には「シアトル敬老」で、高齢化した一世のために二世たちが、ロサンゼルスの「敬老」から多くを学んで1976年に設立した。数多くのボランティアによって支えられていることもまた、先輩の「敬老」同様だ。
 そのシアトル敬老のボランティアの1人、マリコ真野さんが先月、ワシントン州の非営利団体エイジングサービスオブワシントンの2011年コミュニティーサービスアワードを受賞した。シアトル敬老のランドリー部門で1日5時間、週4日のボランティアを1983年の春以来続ける真野さんは、なんと今年93歳。表彰昼食会に同行したボランティアコーディネーターが「出席者全員がスタンディングオベーションで讃えた」とその様子を興奮の冷めないまま説明すると、ピンクのボランティアエプロンを着けた真野さんはその傍らでニコニコしている。
 「私は16歳のときからランドリービジネスに携わってきたから」と真野さんは、退職後にランドリー部門でボランティアを始めた理由を説明する。「それに、ここで人々に会うのも好きだしね」。親しみを込めて「マリちゃん」と呼ばれる小柄な真野さんは、今日もボランティアを続けている。
 シアトル敬老の運営母体である日系コンサーンズの現CEO、ジェフリー服部さんのシアトル敬老との縁もまた、少年時のボランティアに始まった。ジェフの叔母は、日系コミュニティーが設立したばかりのシアトル敬老の初代看護部長。母はボランティアとして英語のニュースレターを日本語に翻訳するなど、一家を挙げてシアトル敬老のために活動。ジェフも学校の傍ら、清掃部門、キッチンなどで働き、その後はシアトル敬老所長も務め、今またCEOとして戻ってきた。
 今年で開設35年のシアトル敬老には、メディケイド予算の縮小などで運営の困難度の増す中、コミュニティーからのいっそうのサポートが呼びかけられている。「敬老」もまた同様に違いない。【楠瀬明子】

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