すし職人専門学校:トーレンス移転で新事業―職人と日本文化育てる

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校長のアンディ松田さん(2列目左から3人目)と生徒たち

 小東京に2002年に開校した、すし職人養成学校「Sushi Chef Institute」は今年2月にトーレンスに移転し、3つの厨房をはじめ、教室など部屋数が大幅に広がった。従来通り職人育成に重点を置きながら、施設面の充実により授業で使わない空きスペースを有効利用し、料理教室や茶道、華道、書道などの実演・展示・クラスに提供することで日本文化も育てる。
 過去9年間使用した旧施設は手狭で、思うような指導ができず、限界を感じた校長で社長のアンディ松田さんは移転を決断。職人の育成だけにとどまらず、各教室を貸し出す考えを示している。例として、食をテーマ

生徒が作ったちらしずし

にプロを対象にしたフランス料理や洋菓子、タイ、韓国料理などの講習会を、一般には一日すし教室や各種講演会、日系企業のパーティー、子どもキャンプにも向いているとしている。総床面積は4000平方フィートで、講習会やパーティーには約100人を収容できる。
 松田さんは、ミシェル・オバマ大統領夫人が進める子どもの肥満対策を尊重しており、栄養を考えた健康的な食事の指導をしている。自身が講師を務めるクッキングクラスでは、味付けや作り方のみならず、塩分、脂肪を減らし、カロリーにも気を配り健康志向とする。
 移転先はホンダ本社の真向いに位置し、日本人が多く住むトーレンスの中心地。日系のスーパーやショッピングモールなどが近く利用者に便利である。地の利を最大限に生かせるとし、コミュニティーとの良好な関係を保ちながらビジネスを展開する。移転を機にホームページを一新して、フェイスブックを開始し、反応は上々だ。
 施設面を充実させ、肝心の教育の質も維持する。より多くの生徒の指導が可能になったが、松田さんは「クオリティーを下げたくない。目の届く範囲で教えたいから」と、建学の理念である少人数制(15人以下の1クラス8、9人ほど)を一徹に守る。

カリフォルニアロール(手前)とスパイシーツナロール(奥)

 授業は短期集中で、1日5時間、週5日の8週間制。授業内容は料理のほかに、将来の開業に備えてフードコストなどの経営のマネジメントや衛生面に力を注ぎ保健所の対応なども学ぶ。また、松田さんの兄幸紘さんが兵庫県西脇市で経営する日本料理店へのインターンは、生徒の楽しみで本場での修業は貴重な経験となる。卒業後は、提携先の店への就職を斡旋する。
 日本で職人が一人前になるには10年かかると言われ、2カ月というわずかな期間ですしが握れるのか、という疑問もあるが、松田さんは、見習いで時給8ドルを2年間続けるのと、しっかりと技術を身に着けるのでは収入に2倍の差が出ると指摘。授業料の5000ドルは、板前として働けば半年以内で取り戻せる計算だと強調する。
 バスボーイやウエイター、ウエイトレスから「手に職をつけたい」などとステップアップを目指す生徒も多い。生徒は20代から40代で、アジア系が7割、白人2割、日系1割で、マレーシア、ベトナム、タイ、韓国などアジア諸国からはるばる学びにくるという。過去9年間で約1000人が巣立ち、成功を手助けしてきた。

すし学校で学び新たな道を切り開いたエミリー・メインさん

 その中の1人で前学期に卒業したエミリー・メイン(18)さんは、それまで、カレッジに就学しながら働き、デリコーナーでサンドイッチを作っていた。アジア学を専攻するなど日本と日本の料理、文化が好きなことから、すしシェフを志したという。すし学校卒業後は、パームスプリングのすし店で職に就き「最低賃金だったのが、チップももらえて倍近くなった」と喜ぶ。「これからの長いすし職人生活の中で役に立つことを学校で基礎を学べてよかった。とても有意義な2カ月間だった」と述べた。メインさんは、日本でのインターンを心待ちにし現在、旅費を貯めているという。
 同校は23日夜、地元と日本食業界関係者、卒業生を招いたオープンハウスを開いた。招待客約80人が、新たな門出を盛大に祝った。あいさつに立った松田さんは、学校運営に加え、新しいコンセプトの「地域と連携して食と日本文化を発信したい」と意欲を示し、新天地での躍進を期した。
Sushi Chef Institute
1123 Van Ness Avenue
Torrance, CA 90501
310-782-8482
www.sushischool.net
【永田潤、写真も】

鉄火巻き(手前)とスパイシーツナロール(左奥)

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