苦労の先に見えたもの

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 カリフォルニア州政府の発表によると5月の失業率は11・7パーセントと4月に比べ0・1パーセント下がった。2008年のリーマンショック以降経済は若干持ち直してきたものの、全米失業率の9・1パーセントに比べるとカリフォルニア州は依然高い。
 40歳代白人男性の友人は、長い間勤めた会社が州外へ移転するに伴い解雇され、この数年間全く仕事が見つからない。どんなに履歴書を送っても返事すらないので、しばらくは酒びたりの日々。ところが最近送った一社から返事が来たので、喜んで封筒を開けると「履歴書のアップデートが必要」とあったそうだ。「早速作り直したよ」と少し恥ずかしそうに頭をかいていた。今後は気分を新たに就職活動を始めるそうだ。
 他にもリーマンショック以降、特に個人事業主の知人などは半年先のすべての受注がキャンセルになったり、一気に売り上げが落ち込んだため貯金を崩してやりくりするなど、今でこそ以前の損失を取り戻しつつあるものの、「本当に大変だった」と口を揃える。
 その大変な経験を乗り越えて、ある人は「今後は人の役に立ちたい」と糖尿病患者のためのファンドレージングのために奔走しているし、またある人はリスクヘッジのために多角化を目指して、オフィスを改造したり、新たな分野の開拓に励んでいる。先日会った知人は「やはりお金がないと困ると痛感した」ので、本業は続けるがサイドビジネスに賭けるという。いったん集金ピラミッドが完成すれば毎月まとまった額が手に入るというもの。しかし、新しいビジネスの話を聞いても興奮が伝わらない。いらぬお世話ながら、お金にコントロールされているのではないかと心配だ。確かにお金は大事だ。しかし、どんな大富豪も棺おけまでお金を持っていけない。ビジネスの相手が人間からカネに変わってしまった瞬間に、その先はないように思う。【下井庸子】

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