西本貿易:業者対象に地酒試飲会―蔵元23社、40銘柄を紹介

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参加者に自慢の自社ブランドの試飲を勧める蔵元ら

 日本食卸売業の西本貿易は6月18日、小東京のキョウト・グランドホテルでレストランやスーパーマーケット、酒販売店などの業者を対象に地酒を中心としたビール、焼酎、日本茶の試飲会を開いた。23蔵元が約40銘柄を出品し、各社自慢のブランドを参加者約250人に売り込んだ。
 参加者は、刺身や巻ずし、天ぷらなど日本食を試食しながら、各ブースを回った。各蔵元は、それぞれの地酒の産地や保管方法などの特徴をていねいに説明。料理との相性や冷やしたり、温めるなどして味わうおいしい飲み方を積極的に勧めていた。

夢心酒造の東海林伸夫社長(右)と芦沢厚志さん

 福島に創業して130年の老舗「夢心酒造」の13代目社長の東海林伸夫さんは、自社ブランド「奈良萬」の販拡を目指す。同社の米国進出は4年前と他社に遅れた。後発のハンディを補うために「アメリカ市場にないものを」と、調査を続けているという。この日は、他との差別化を図り、ぬる燗(115〜120°F)にして薦めた。熱燗好みの米国人だが、味に加え、ぬる燗のほどよい温かさが気に入った試飲者が多く、手応えをつかんだ様子だった。
 夢心社の喜多方市は内陸に位置するため、東日本大震災の直接被害は、ごくわずかで済んだ。だが、沿岸部の同業他社は、出荷する酒びんが1000本も割れたり、津波で蔵ごと流されたりするなどの被害に遭い、東海林さんは心を傷めている。同地区にはまた、同社が取り引きする料亭や飲食店、酒屋があり、連絡が依然とれない顧客がいるという。
 このような津波の被災地からの同社への注文はゼロだという。業績は落ち込み、回復はいつになるのか分からない。不安だが、東京など都市部では「東北の酒を飲もう」という、被災地産の食品や製品を買うことによって復興を支援する動きが高まっているという。同社はこれまで販売は地元に頼っていたが、東海林さんはこれを機に他の地域にも販売網を広げたいとし、海外においても米国を中心に営業活動に力を注ぎたいと述べた。
 東海林さんは、同会場で同じ福島出身でロサンゼルス在住、当地の日本食事情に詳しい芦沢厚志さんを紹介された。販売の協力を約束され、芦沢さんら同郷出身者が今年中に開催を予定する福島物産展への出品を勧められ、参加の強い意志を示した。
 参加者のラーズ・ニューテンさんは、パシフィック・パリセーズの和食を中心にしたアジアフュージョン料理店「パール・ドラゴン」のマネジャー。この日は地酒12、13銘柄を飲み比べ、メモを取って自己採点し

ブースでは商談も行われた

研究に努めた。新潟の「鬼ごろし」が好みで飲んたが、他の参加者がにごり酒を多く試飲しているのを見て勉強になったと話した。店では、にごり酒はあまり売れず、季節によるが日本酒は熱燗で飲むのが人気といい「好みの温度で飲むことができるのが日本酒の特徴で、そんな飲み方はほかの酒にはあまりないので客においしく飲む温度を教えたい」と話した。
 パシフィック・パリセーズは、「オールドマネー」と呼ばれ先祖代々からの財産を受け継ぐ富豪が多く住むことで知られている。客は値段に構わず注文し、ランチタイムからすしを食べ、値の張る高級地酒もよく売れるという。同店はここ数年の社会の不況とは無縁で、こういった常連に支えられ繁盛を続けている。ニューテンさんは「われわれの客は口が肥えているので、いいものを積極的にメニューに取り入れている。これからも試飲会で勉強したい」とした。日本酒試飲会の開催については「ワインの人気に追いつくためには、業者であれ一般向けであれ、頻繁に開いた方がいい」と意見を述べた。
 同試飲会を取り仕切った西本貿易の船津恒野・セールスリーダーは、一堂に酒を集めて紹介することで「1度にインフォメーションを渡すことができて、さまざまな顧客のニーズも知ることができる」と開催の意義を強調。また、蔵元が直に顧客に会うことが大きいとし「直々にサーブするのは強いアピールになる」と話し、今後も現地から蔵元を招いた試飲会を開き、地酒の啓蒙に努める意向を示した。【永田潤、写真も】

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