男女12人ずつの日系4世中学生選抜バスケットボール・チームが7月31日、日本に向け出発する。コーチ、保護者総勢100人の大部隊だ。
8月1日から6日まで熊本県玉名市に滞在し、地元中学生チームと親善試合を行う。その間、玉名の選手の家に宿泊し、食住を共にしながら友情を深める。
日系中学生と日本の中学生がこれだけの規模で、長いこと草の根親善を育んできたプログラムは他にあまりない。
この交流計画は、建築家のフランク・キヨムラさんが18年前に設立した。
「日系の若い世代が曽祖父母の祖国との絆を深め、素晴らしい日本文化や風習・伝統を学ぶ場を作りたい、そう思って始めました」
日系も4世世代になると、祖父母の祖国とは段々疎遠になってくる。ただ日本を観光旅行するのではなく、地方都市に住む同世代の日本人と「同じ釜の飯を食う」。自分のルーツを確かめ合うのに、これほど手っ取り早い話はない。
バスケットボールはそのための「ツール」(道具)。それにバスケットボールは日系2世にとっては、強制収容所当時からの甘酸っぱい特別な思いがあるはずだ。
4世たちがこれまで訪れたのは、福岡、島根、高知、玉名、酒田の5市。4年に1度ずつこれらの都市を訪れる。それぞれの町に実力のある協力者がいたからだ。
訪問した次の年には訪問先から日本人中学生チームがLAにやって来る。4世たちの家にホームスティし、試合をする。
ビーチパーティーやディズニーランドは日本から来た子供たちにとっては一生の思い出になっている。
最初は恥ずかしがっていた中学生たちも1週間後には抱き合って別れを惜しみ、再会を約束するまでになるという。十数年たっても交流している若者たちもいる。
8月中旬には、昨年4世チームが訪れた酒田市から中学生チームが阿部寿一市長と一緒にLAにやってくる。
「次の目標は、日本の政府や企業の人たちにも協力してもらい、将来に向けた日本と日系人との強固な関係を築いてきたいですね」
キヨムラさんの夢は留まるところを知らない。【高濱 賛】