ある怖いお話

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 ある暑い日の事でございました。家の者に誘われるまま、とあるモールへとまいりましたところ、しもの話で恐縮ではございますが、便意を催しましたので掃除の行き届いた厠で番を待っておりました。
 目の前には30代初めと思われるこぎれいな、父親とおぼしき男性が扉を開けたままでしたが、子どもにお小水をさせておりました。終わって出てきて、目が合うと笑顔とともに軽く会釈をして過ぎて行きました。
 最近の若者にしては礼儀正しいではないかとひそかに思いつつ、個室に入り、シートカバー紙を便座にのせようとしましたら…
 なんじゃーこれは! 便座がおしっこでべちゃべちゃじゃないか。思い起こせば、あのお父ちゃん、足でレバーを押してたぞ! これはきっと、一人だけじゃないぞ。飛び散ったおしっこの上を歩いた靴で押されたレバーを、今まで手で押していたんだ。うわー。あの高さのレバー、どう考えても足で押すもんじゃないぞ。うわー。
 便所へ行った後は必ず手を洗うから大丈夫だとは思うが、これはそれ以前の問題。衛生感というかマナーというか、親はどんなしつけをしているんだ。と思ったものの、くだんの男の子も大きくなったら、親の真似して同じようにするんだろうな。
 家庭用だとレバーはないだろうから「足蹴」はともかく、便座を下ろしたままおしっこなぞまずやらないだろう。やれば母親や、奥さんからこっぴどくしかられるぞ、たぶん。
 話は変わるが、レバー式の手ふき紙ディスペンサーがある。あるお年寄りが、手を拭いた後の紙のまだ濡れていないところで、濡れたレバーをちょっと拭いて出て行った。どうせ濡れた手でレバーを押すわけだから濡れてても問題ないわけだが、気は心、乾いていれば、雑菌もわきにくかろう。
 閑話休題。人がしているからとはいえ、やはりレバーを足蹴にはできない。あれ以来、レバーは紙をあてて押すようにしている。
 やはり、家でやらないことは外でもやらない方がいいと思うが、いかがかな。【徳永憲治】

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