日系人と9・11

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 今年も9月11日がめぐりくる。
 誰もが驚愕したあの10年前の事件以来、多くが変わった。空港などでのセキュリティーの強化、イスラム系を見ればテロリストではないかと恐れる眼差しの出現。空からの突然の攻撃を、メディアの一部は、日本によるパールハーバー攻撃に例えた。そしてパールハーバーが在米の日本人・日系人を困難な立場に陥れたように、同じ災難はアラブ・イスラム系の人々の頭上にふりかかることになった。だからこそ、9・11テロ後に憎しみや恐怖心から生まれた暴行や脅迫への抗議が、日系人コミュニティーの中に生まれた。
 終戦記念日の8月15日、NHKの『渡辺謙アメリカを行く―9・11テロに立ち向かった日系人』を日本で見た。同じ頃TVジャパンでも放映されたので、ご覧になった読者も少なくないだろう。
 テロへの恐怖心から9・11直後、空港でのセキュリティー基準を乗客の人種などをもとに選別する「人種プロファイリング」案が登場した。これに「外見や肌の色で判断されることの不当性は自分の体験として知っている」と、毅然とした態度で反対し一歩も引かなかったのが、当時運輸長官として航空行政のトップだった日系二世、ノーマン・ミネタ議員だ。また、テロへの憎しみを原因にアラブ・イスラム系の人々へ暴行や脅迫が行われてはならないと行動を起こしたのは、日系三世のキャシー・マサオカさんをはじめとする人々だった。
 番組は、それらの事実を日本の視聴者に紹介するとともに、その行動の原点ともいえる70年前の日系人強制収容を語る。LA在住の俳優渡辺謙が1年以上取材に関わり、極寒のハートマウンテンを訪ねては当時を思い、インタビューを行い、ワシントンDCに建てられた記念碑をも訪ねる。とりわけ、歴代長官の肖像が並ぶ運輸省本部での、「ハートマウンテンを忘れない」ミネタ元長官の肖像画は感銘深く、数ある終戦記念日関連放映作の中でもキラリと光った。
 先日の放映は73分の短縮版だったが、この9月11日には、TVジャパンで前編と後編、合わせて114分が放映される。【楠瀬明子】

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