表千家同門会米国南加支部:秋の名残の茶会で親睦、茶道への理解を深める

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本席濃茶席。正客は表千家同門会米国南加支部の生田宗博顧問、次客に中村領事を迎え、厳かな雰囲気の中、茶をたてる金瀬宗雅氏

 表千家同門会米国南加支部(伊藤ルイス支部長)は9日、秋の親睦茶会をニューポートビーチの喜多山レストランで開催した。中村邦子・在ロサンゼルス領事をはじめ茶道、華道の各流派の教授陣、生徒らおよそ130人が集まる中、茶道への理解を深め、名残の季節にふさわしい茶会となった。
 季節感溢れる本席、立礼席を設置し、各4席ずつで客をもてなした。本席はビショップ宗銑、堀宗孝、岡添宗幸、金瀬宗雅、和多宗寿、スジンスキー宗博が担当。立礼席は貞金宗富、更科宗清、小野宗純、末盛宗律、森田宗翠が務めた。
 掛物は、田山方南筆の良寛一首「秋のよハなかしといへと…」、花入は平安元笠作の宗金好手付置籠、釜は敬典作の眞形切合せ、風炉は浄雲作の唐銅朝鮮、水指は昭楽造の如心斉好梔子、茶入は光右エ門作の瀬戸渋紙手、茶碗は兼田昌尚作の萩、茶杓は昌道作の瑞宝院、菓子は三河屋製の錦秋、御茶は碧園詰の翠峰が使われた。
 薄茶席での掛物は而妙斎筆の「萬千の歓」、花入は新圧貞嗣造の萩焼助右衛門窯、釜は鈴木盛久造の釜師、水指は中村秋峰造の光琳写し、茶碗は小川裕紀夫造の赤楽「曙」、茶杓は即中斎自作の「千歳」裏朱塗、干菓子は末富製の野菜煎餅と甘春堂製の稲穂、茶は柳桜園詰の「珠の白」が使われた。
 来賓として席入りした中村領事は「ロサンゼルスでもこうして流派を超えて日本文化の伝承に励む方々がいることは素晴らしいこと」と述べ、教授陣の尽力を称えた。
 茶の湯には現代の我々が忘れがちな春夏秋冬、四季折々の風情を慈しむ心や、日々の生活への感謝の気持ちが込められている。
 10月は名残の茶の季節。5月に摘んだ茶を壷に入れ、涼しい風通しのよいところに保管し11月に封を切る。こうして初冬から使い始めた茶壺の茶が残り少なくなるのが10月のこの時期で、いかにも心細く茶の名残が惜しまれ、過去の茶人たちはこの時期の茶を「名残の御茶」と呼ぶようになった。
 また茶道は一服の茶を客に楽しんでもらうための総合芸術であり、職人が丹精込めて作り上げた茶道具ひとつ一つを鑑賞することも醍醐味のひとつ。田中百合子教授は「作品をていねいに観察する茶の精神が、時計や自動車など日本が世界に誇る製品を生み出す事業にもつながっているのでは」と問い掛ける。アップル社の創設者であり数々の世界的ヒット商品を世に送り出してきたスティーブ・ジョブズ氏も生前、茶道への造詣を深めていたひとり。
 教授陣は今後の課題として「茶道を習い始めたばかりの人にも、花や掛け軸などをみて茶道の世界観や、奥行きの深さを知ってもらいたい、また伝承に務めるのが使命」と力を込めた。  【吉田純子、写真も】

森田宗翠準教授が担当した立礼席の薄茶席

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