南加和歌山県人会:創立100周年を盛大に祝う、県との絆深め、発展誓う

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創立100周年を迎えた南加和歌山県人会の会員と関係者


 南加和歌山県人会(岡本啓三郎会長、会員300家族)は13日、モンテベロのクワイエットキャノンで日米伯からの来賓を含む総勢500人で、創立100周年記念祝賀会を盛大に催した。同会は県との絆を深め、さらなる発展を誓うとともに、次なる目標「社会貢献」「後継者育成」「日米の友好関係構築」を掲げ、101年目の大きな一歩を踏み出した。

創立100周年を記念し、乾杯する(右から)新美総領事、岡本会長、仁坂県知事

 
 高野山ボーイスカウト379部隊による日米国旗宣誓で幕を開けた祝賀会。3年前から会員とともに準備を重ねてきた岡本会長は、「今日を無事に迎えられたのは、会の団結力のおかげ」と述べ、会場のスクリーンに映し出された過去100年間の歴史に、紀州人としての誇りをあらためて感じるとともに、会を導いてきた先駆者やそれを支えてくれた日系社会、そして祖国日本や他国在住の同胞らに感謝した。
 祝辞の中で新美潤・在ロサンゼルス日本国総領事は、当地赴任前にあらためて南カリフォルニアの日系史を学んだことに触れ、多くの和歌山県出身者が住んでいたターミナル島をはじめ、同会の紆余曲折の歴史を称えた。また、同会の活発な活動の中でも、86年から続く夏季交換学生制度を「意義深い国際交流」と高く評価、日米友好関係構築にはこのような草の根活動が重要であると話した。
 和歌山県は古くから海外との結びつきが強く、全国有数の移民県といわれている。仁坂吉伸・和歌山県知事は、「紀州人としての気質をひとときも忘れることなく、文化や言葉、風習などの違いを乗り越え、ここロサンゼルスに日本人としてのプレゼンスを多いに発揮してきたことに深く敬意を示す」と述べ、県人会の活動は、年月を経て米国社会に受け入れられ、今日の日系人全体の地位向上に結びついていると賛辞を贈った。
 新島雄・県議会議長は、「和歌山県は台風の影響で少し傷がついてしまいましたが、たくさんの方々のおかげで回復し、元気を取り戻しました」と現状を報告。和歌山県民歌の歌詞を読み上げ、和歌山の素晴らしさをアピール。最後の「ふるさとは、つねに微笑む」を引用し、「どうか皆さん、和歌山へ帰ってきてください。心から歓迎します」と、会員に「祖国」訪問を呼びかけた。
祝舞を披露する滝本美沙子さん
 またブラジルから参加した在伯和歌山県人会連合会(1954年創立)の木原好規会長は、日系社会が3世、4世、5世と大きくなるにつれ、「徐々に県人意識が薄れていってしまう」と共通の問題を指摘。「南加和歌山県人会の100周年にあやかりたい」と述べるとともに、来年は地球サミット、14年にはサッカーワールドカップ、16年には夏季オリンピックと、主要なイベントが目白押しとあり、「ブラジルにもぜひ、遊びに来てください」とアピールした。
 祝賀会の会場では、同県人会の元会長、田野岡強さんが2011年度(平成23年)和歌山県知事賞を受賞したほか、功労者(20人)や高齢者(87人)の表彰が行われ、戦後初代会長を務めた故和田勇さんの妻、正子さんの白寿の祝いも行われた。
 またカリフォルニア州を代表し、和歌山出身の曽祖父母を持つウォーレン・フルタニ議員も参加。南加和歌山県人会の100年にわたる貢献を祝し、加州とロサンゼルス市から記念の賞状が岡本会長に贈呈された。
 岡本会長は、100周年を機に会員同士の結束も固くなり、県との絆もさらに強まったと振り返る。県人会の今後の目標に「社会貢献」「後継者育成」「日米の友好関係構築」の3点を掲げ、「常に会員のニーズに耳を傾けながら魅力のある県人会にしていきたい」と語った。今後は、新年会にさまざまな分野のゲストを招待して講演会を開くなど新しい活動も増やし、会員のための楽しい会にしていきたいと決意を新たにした。
 
 南加日系社会から義援金
 
 和歌山県は、8月25日に発生した台風12号の影響で、同県南部を中心に膨大な水害被害を受け、死者50人、行方不明者5人を出した。これを受け、南加和歌山県人会から1000ドル、また南加県人会協議会から2000ドルの義援金が仁坂知事にそれぞれ手渡された。知事は、「復興した和歌山県にまた遊びに来てください。それが、県民にとって励みになります」と礼を述べた。
 
8学生に奨学金授与
2人は来年夏に和歌山県へ

 

2011年度奨学金受賞学生と関係者


 会場では、県人会の主要活動の一つで、「後継者育成」「日米友好関係構築」の土台ともなる奨学金授与式も行われた。1977年に始まった同制度は、大学へ進学する同会会員の子弟の中から、選考委員の厳正な審査で選ばれた学生に贈られるもので、現在までに221学生が奨学金を受けている。
 2011年度の受賞者は、県人会長賞にキャサリーン・ショウガさん(パシフィック大学)、婦人会長賞にデービッド・カリカさん(スタンフォード大学)、城川岩雄賞にエイプリル・ヒシヌマさん(カリフォルニア大学バークレー校)、和田勇賞にケルシー・ウォングさん(ウィティア・カレッジ)、谷寿美三賞にコーディ・ウエダさん(南カリフォルニア大学)、間所三之助賞にローレン・コックランさん(カリフォルニア大学アーバイン校)、政谷邦男賞にクリスティン・クマガイさん(カル・ポリ・サンルイオビスポ校)、奨学資金部賞にダニエル・リーさん(南カリフォルニア大学)がそれぞれ選ばれた。
 また同会は、和歌山県、財団法人和歌山県国際交流協会、和歌山日米協会、和歌山大学の協力を得て、「夏季交換学生制度」を行っている。2週間の日本滞在を通じ、会員子弟に和歌山および日本を身近に感じてもらい、自身のルーツを知ってもらおうと、1986年に始まった。現在までに55人の学生が和歌山県を訪れている。
 国際交流協会の樫畑直尚理事長によると、学生たちは滞在中に日本の歴史や宗教、移民の歴史を学ぶとともに、自然と深くかかわった日本人の暮らしを肌で感じられる内容になっているといい、「違った文化を持ちながらも、同じ人間であることを感じてもらい、学生たちに日米両国の平和、また世界平和を考える機会になれば」と述べた。
 奨学資金部の白井マリ部長は、同制度は和歌山子弟が自身のルーツに触れられる貴重なプログラムであると強調し、ヒラリー・クリントン国務長官が以前述べた「1人の子供を育てるには村全体が協力しなければならない」との言葉を引用し、県全体が協力してくれている支援態勢に感謝の言葉を述べた。
【中村良子、写真も】

 
南加和歌山県人会100年の歩み
 
 南加和歌山県人会は1911年、南加在住の同県出身者の発展、親睦、援助などを目的に、200人の会員で発足。初代会長に湯浅銀之助氏が選ばれ、同氏は以後11年間にわたり同会をまとめる大役を務めた。
 発足から2年後には会員数も500人に膨れ上がり、和歌山市民図書館の資料によると、当時南加在住の日本人の3割が和歌山県出身だったという。27年には会誌の発行が始まり、38年には青年会が発足、翌年7月には全加州和歌山県人会総合競技大会を開催した。
 当時の主な活動内容は、募金運動、水害見舞い、火災見舞い、無縁人葬儀、日本艦隊などの歓迎会、領事館の委託で在留民登録取り扱い、ピクニックなど、さまざまな面から会員の支援に努めた。
 41年の太平洋戦争勃発により、日系人の多くが収容所に収容され活動の一時中断を余儀なくされた。57年、レタス王と呼ばれた南弥右衛門氏の援助で「和歌山クラブ」として再発足。会長に和田勇氏が選出された。
 77年には奨学資金部を設立、現在までに221人に授与されている。また83年に州からNPOの認可を得るとともに、南加和歌山県人会へと改称。86年には創立75周年を記念し、県の協力を得て「和歌山県海外移住者子弟夏季生活体験制度」を設立。現在までに55人の子弟を県に派遣している。
 その後も県との友好関係を保ち、新年会やピクニック、青年会によるゴルフ大会などを通じ、会員同士の親睦を図り活発に活動を続ける。

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