冬至に融通を思う

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 師走が訪れると何かとせわしなくなるのは、一年を気持ちよく締めくくるためにやり残してきた仕事や、かたづけ、掃除などをしなければという気運が高まるからでしょうか。自分自身で締め切りを作っているのかもしれません。
 もっとも近年では大掃除の習慣は減少し、規模的には小さな掃除である小掃除(こそうじ)の方が増えているそうで、こちらの方が精神的にも楽な感があります。
 もともと箒(ほうき)を使うことは穢(けが)れを祓(はら)うという意味が込められていますから、掃除には部屋を清潔にする以外、こころを清潔にすることが求められたのだと思いますから、一年の締めくくりに掃除することには、それなりに意味があるのだと考えます。
 アメリカでもウインタービギンと呼ばれて、冬のはじまりと呼ばれるこの頃、冬至に柚子湯に入るのも、こういった精神のいらいらを少しでも和らげようとしたのかもしれません。柚子湯には、血行促進、神経痛や冷え性を和らげ、ひびあかぎれを治し、風邪の予防にもなるという非常に多くの効能があると言われています。こころが騒がしい時期に、柚子湯で一年を振り返ることができる日本の慣習をアメリカで実行することは難しそうですが、冬至に柚子湯の湯治ができれば、私たちのこころもずいぶん癒されそうです。
 東京・新宿区の穴八幡宮では、冬至の日から『一陽来復』のお守りが配られます。これには悪いことが続いたあとようやく物事が良い方向に向かうこと、陰(いん)が窮まって陽(よう)が生じること、という意味があるそうです。そして、柚子(ゆず)は融通(ゆうずう)につながります。この時期は何かと資金も行事もせわしなくなるようで、融通が不可欠だったのかもしれません。
 大変な一年が去ったあとには、陽がやってくることを望んでいます。そして私たちのこころの融通(譲り合い)があるところに、陽が差し込むのだと思うことが、私たちの生活をより豊かなものにしていきます。【朝倉巨瑞】

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