歌の仲間たちと共に:復興願い、被災地へエール―慈善ショー、東北の名曲熱唱も

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東北を舞台にしたメドレーを歌い、被災地にエールを送る生徒ら

 歌のインストラクター新原由美さんと新原さんの生徒が共演する歌謡ショー「歌の仲間たちと共に」が11月20日、ホリデーイン・トーレンスで開かれた。約30人の出演者が、東日本大震災の復興をテーマにしたステージで東北の歌などを披露し、被災地へエールを送った。

参加者全員による「故郷」の合唱で、参加者にマイクを差し出しす新原さん

 東京音楽大学で基礎を学んだ新原さんは、趣味で歌うアマチュアといえども容赦なく厳しく指導する。この1年間は、生徒にフィーリングを持って歌うことを叩き込んできた。新原さんによると、音符通りにテクニックだけで歌うと歌の完成度は90パーセントにしか達せず、残りの10パーセントはフィーリングと組み合わせて初めて一曲の歌を歌い上げることができるという。
 新原さんは、プロの歌唱法は内から発するフィーリングを表情を変えずに目を使って訴える、と説明。歌詞や旋律に込められた喜怒哀楽のメッセージをストレートに表現するから、聴く人の心を捉え感動を与えることができるのだという。また「プロは才能と長い間の努力を重ね自分を作り上げている」と強調し、アマチュアとの違いを説く。そのため生徒には、プロを真似て独りよがりに歌うことを戒める。「プロっぽく見せかけて歌ったりせず、自分なりに必死にがんばって、素朴さ、純粋さ、恥じらいなどを出して歌い、聴く人に気持ちを伝えることができればそのステージは百点」
 ショーでは各人が、演歌やポップス、クラシックなど新旧を織り交ぜたさまざまなジャンルの計約50曲を熱唱。ソロに合唱、メドレーなど趣向を凝らした演出で、会場を埋めた270人の観衆を酔わせた。

寄付金の贈呈式。左から新原さん、比嘉朝儀・南加県人会協議会会長、西さん

 合唱とメドレーは、震災のテーマに沿って選曲。合唱の「故郷」を選んだのは「津波で故郷を失った多くの被災者がいて、未だに帰ることのできない人もいるから」(新原さん)といい、全出演者がステージに上がり大合唱をリード。会場全体が一体となって東北に思いを馳せ、心を1つにした。演歌を主体に構成したメドレーは、東北を舞台にした名曲、青葉城恋唄や津軽海峡冬景色、北国の春、雪国、港町ブルース、帰って来いよに加え、被災者を励ますために歌われた応援歌「愛は勝つ」なども若者が心を込めて歌った。歌い手は、指導通りの「被災地へ気持ちを届ける」という一心で力を込め歌い上げた。
 生徒の多くが10年以上習い一定のテクニックを習得しており、フィーリングを身につける段階に入っている。新原さんは「このレベルまで来ると、ステージで背筋がピンと伸びて歌うことができる。今年の生徒はみんなそういう風に姿勢を良くして歌ってくれた。今まで教えたことを守り、今年はやってくれると思っていたけど間違いはなかった」と成功を誇った。
 ショーは新原さんと、今年で司会生活47年目を迎えた西タック・敬子さん夫妻が「初心を忘れないように」との思いで始め今年で17回目。企画から準備まですべて生徒とボランティアが行う「手作りのショー」を誇る。今年は、ショーの最中で音楽と照明が切れる電気系のトラブルがあり心配されたが、10分ほどで復旧。音楽の神様は、歌に情熱を傾ける生徒たちを見捨てることはなかった。
 ショーの売り上げの中から毎回、寄付を行っており、今年は南加県人会協議会に1000ドルを贈った。寄付金は、日本総領事館、日本赤十字社を通して被災地へ届けられる。【永田潤、写真も】

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