修身斉家治国平天下

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 小学校の頃、「修身斉家治国平天下」という言葉を習った。どういういきさつだったか覚えてないが、なぜか記憶に残っている。
 儒教の教典の一つ、『大学』のなかの言葉だが、「天下を平定するには、自分の国を治め、そのためには自分の家庭を斉(ととの)え、そのためには自分の身を修めよ」が大意だが、「自分の身を修めれば、家庭は斉い、そのような家庭が集まれば国はうまく治まり、そのような国が集まれば天下は泰平である」ともとれる。
 ずっと昔は学校の授業に修身という科目があったそうな。僕らの頃は道徳のクラスであった。いつのころからか修身も道徳も無くなり(今また再開しているらしいが)、「今の子どもたちは協調性も事の善し悪しの区別もつかない」となげく教育者・政治家のみが残った。
 子どもたちは善悪を自然に学ぶわけじゃない。親や先生などから厳しく教えてもらってはじめて理解することができる、と考えるがどうだろう。
 もっとも今では先生などが厳しい躾(しつけ)をすると、虐待したと文句が来るそうな。へたすると暴力教師だとかのレッテルを貼られ、身動きできないという。僕らの高校は男子校だったから、ワルサをすれば担任のビンタがとぶ。しかし誰も親に言いつけたりはしなかった。厳しさの加減が分かる教師は良い教師、生徒もそのあたりは分かっていた。
 卒業後しばらくして学校に遊びに行ったら、くだんの担任の先生、同高の校長になっていた。
 アメリカでは道徳教育はないと聞き、娘を近くのクリスチャンスクールへ入れた。授業料が高かったので、二年で転校したが、すこしは身になったかなと思うのは親のみか。
 自由に育った子供たちが現在親になり、子育ての方法が分からず無理難題をふっかけ右往左往するのは、動物園で育ち団体行動をとったことのない動物の親が、育て方が分からず子どもを放棄・無視するのに似てなくもない。
 動物ならば係員が世話し美談ともなるが、人間はそうはいかない。身を修めさせるにはまず家庭がしっかりしてないとだめなのかもしれない。がんばらねば。【徳永憲治】

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