物事を考える

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 あけましておめでとうございます。
 新年の抱負を今年最初の題材にしようかと、しばらく考えていたら、そのままソファーにうたた寝してしまった。そしてふと遠い昔の情景が脳裏に浮かんできた。
 それは小学生の頃、日光への家族旅行の時だった。くねくねする山道を登り始めた観光バスの中。
 バスガイドさんが、乗客たちに「とんちクイズ」を出した。きれいな声で「さて、この道のカーブはいくつあるでしょう?」到着したら答えを教えるということで、バスは走り続けた。
 窓を眺めると空には力強い入道雲、周りは緑の山に所々に紅色の葉。鮮やかで爽やかな景色だった。急なカーブを曲がるたびに、僕は指を折りながら数え始めていた。20ぐらい数えたあたりで、だんだんと面倒臭くなり諦めかけた。でも正解をだそうと、続けた。
 やがて目的地に到着し、バスガイドさんが、「わかりましたか?」と聞くと、「50」「100」「たくさん」と大人たちの声が聞こえた。すると彼女は、やや照れ笑いしながら、「とんちですからね。いいですか、答えは…」みなが固唾を呑むと、「…右と左の2つです」。
 乗客からは、やられたっ! というニガ笑いがこぼれる。「せっかく数えていたのに」という不満な声も。
 僕はその時、なるほど、すごい! と感心した。もともと真面目な質問ではない。「とんち」の本質である「ひねり」があることさえも忘れていた。バスガイドさんは「カーブは右と左の2つだけです。簡単に考えてください。目的地にきちんと到着します。そして左右の双方の景色を満喫出来るのです…できましたか?」
 昨年は、何事においても物事を深く考え過ぎで、必要以上に複雑化させて、ストレスになり、視野も狭くなり、仕事も効率悪く、ただ疲れて寝てしまう…というパターンもたびたびあった。
 もちろんじっくり考えることも大切だが、機転をきかして簡素化することも時には必要かもしれない。周りもよく見えてくると思う。今年のスタイルはこれでいこう。
 読者の方々、今年もよろしくお願い申し上げます。【長土居政史】

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