ジャカランダの美

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 2カ月おきに日本からLAに出張してくるクライアントを乗せてLA市内を運転中の時だ。はっと驚いたように聞いてきた。
 「あれは何だい?」
 「え?」
 「あの紫のだよ」
 「あれはですねえ…」
 で始まったジャカランダ(Jacaranda)の談話。
 15メートル程の高さの街路樹を鮮やかな紫の花いっぱいで彩る。こうしてあらためて眺めると、その華麗な美しさに見とれてしまう。
 ジャカランダは熱帯地のメキシコや中南米、カリビアンが原産地で、今ではオーストラリア、インド、フィジー、南アフリカ、イスラエル、フロリダ州、アリゾナ州、そしてサンディエゴをはじめ南カリフォルニア各地でもお目にかかれる。さらには中国南部や日本でもだ。宮崎では「ジャカランダまつり」が6月頭に開催される。
 カリフォルニアでは、年2回春と秋の季節に花が咲く。歴史を調べてみると、植物学者、園芸学者、造園学者であるケイト・セッションズという人物にぶち当たる。1892年に彼女はサンディエゴ市と契約し世界中から多種多様な植物を移入し、街の至る所に植えた。中でもバルボア公園の開発、発展に貢献し、「バルボア公園の母」と言われる。都会の中に位置するその公園はさまざまな博物館、美術館、植物園、劇場、庭園、建築物があり文化活動の場、そして市民の憩いの場となっている。
 彼女によって紹介されたエキゾチックな植物のひとつがジャカランダだった。種を埋めてから花が咲くまで時間がかかり、乾燥地帯にも強いらしい。
 紫色は「エネルギッシュな赤」と「鎮静効果の青」を持つ中性色で、想像力やインスピレーションを高める。神秘的でもあり、高貴なイメージを発する。ストレスの多いLAでジャカランダに癒される人はたくさんいるだろう。
 最終日、空港へ送る際に同じ道を通るとクライアントが聞いた。
「あれはなんて言ったっけ? ジャ…ジャカ…」
 覚えてもらうために頭をひねった。
 「ジャカルタとオランダと覚えて下さい。2語をつなげて呼びやすいように…」
 でも次回の訪問時にはジャカランダはもう見れないかもしれない。【長土居政史】

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