6年生のトマト君

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 今、日本食料品店の店頭にはいろいろな野菜の苗が並んでいる。かぼちゃ、なすび、ししとう、キュウリ。それを見ると、私のトマトを植えなくちゃあ、と気がせく。
 そのトマトは7年前にわが家に転がり込んできた。娘の友人がニューヨークの大学院に行くことになった。娘が彼から要らなくなった物をもらってきた。その中にひょろひょろのもやしのようなトマトがあった。半分に切った1ガロンの牛乳のプラスチック容器の中でかろうじて生きていた。
 何でこんな物もらってくるのよ、ゴミじゃあないの、捨てなさいよ、と言いかけて、言葉を飲んだ。二人の若者はこのトマトが捨てられなかったのだ、と気がついた。びちゃびちゃの土は腐りかけている。裏庭に植えかえても、枯れて死んでしまうだろう。でも、とにかく言い訳に植えておいた。そして忘れた。
 ある朝、ひょいと見るとトマトが顔をあげて天を仰いでいる。植えてもいないのに。ああ、あのトマ

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