ウーマン・オブ・ザ・イヤー賞に輝いた(前列左から)野口さん、上村さん、宮城さん、菊池さん、景山さん。後列左が生田博子・南加日系婦人会会長とジョージ・キタJACLロサンゼルス支部支部長
 日系市民協会(JACL)ロサンゼルス・ダウンタウン支部と南加日系婦人会が選出する2012年度の「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」賞の授賞式が20日、モンテベロのクワイエット・キャノンで開かれた。受賞者は、日系コミュニティーで顕著な活躍が認められた景山淳子さん、菊池ナンシーさん、宮城能松さん、野口バレナさん、上村静子さんの5人。所属団体の同志など約380人の参列者が見守る中で表彰を受けた。受賞を今後の奉仕の糧とし、より一層励んで日系社会に尽くす決意を新たにした。
 5人は、重職に就いて各団体でリーダーシップをとったり、裏方などとしてそれぞれの得意の分野で、献身的に尽くしてきたスーパーウーマンばかりだ。受賞について「せんえつ」と口を揃えるが、各団体を代表しての表彰に「光栄」と胸を張った。所属団体の代表が登壇し、各人の経歴や逸話などを紹介するごとに大きな拍手が送られ祝福を受けた。
受賞者を代表し、あいさつを述べる野口バレナさん
 景山さんは、バレー日系コミュニティーセンターで活動。約36年の長きを振り返り「キャンプ(強制収容所)から出てきた人たちが作ったセンターなので、大切に守りたい気持ちが強かった。小さな家族的なコミュニティーなので、助け合って活動を続けることができた」。今後は「若い人に引き継いでもらいたい」と述べ、後継者育成に意欲を示した。
 「ボランテイアをすると気分がよくなる」の信念を胸に活動する菊池さん。小東京交番、二世週ファンデーション、南加愛媛県人会など、さまざまな団体で要職を務めリーダーシップを発揮する。闊達な性格で、その徳を慕って多くのボランティア仲間が集まる。今回の受賞者の中で最年少であり「(受賞は)まだ若いので」と辞退を考えたというが「励みになる」と気持ちを切り替えた。「これまでの活動はウォームアップに過ぎない」と言い切り「これから『リアルゲーム』が始まる。もっと頑張っていきたい」と、気を引き締めた。
 日米で58年間、琉球舞踊に打ち込む宮城さんは、米国6州に9教室を持ち普及に力を注ぐ。数々の賞を受賞し「沖縄の芸能が認められて誇りに思う。みんなに支えられて感謝している」と喜びを素直に表現する。「能松せんせー」と呼ばれ親しまれ、この日は弟子や同県人会会員など100人に迫る大人数の応援団が駆けつけた。今後については「沖縄系に限ることなく、他の日系3世、4世の若い子どもたちを育てたい。国の重要無形文化財に指定され沖縄が世界に誇るこのすばらしい伝統芸能を伝えていきたい」と、琉球舞踊の継承と普及に使命を燃やし続ける。
 「多くの団体にかかわってきて、表彰を受けて光栄」と述べる野口さん。クラシック音楽の趣味を生かし、ロサンゼルス交響楽団やアジアアメリカ交響楽団など各後援会また、夫で眼科医のタカシさんが所属する日系医師協会補助団体で会長を務めるなどした。「音楽と文化、医療の分野で活動してきたことが評価されてうれしい。さまざまな人々と出会い、夫と一緒にボランティアをしてきてよかった」と話した。
 上村さんは、日本民謡「竹嶺会」を設立し約40年間、若い継承者育成の観点から無報酬で教えてきた。受賞について「家族や生徒、みんなが支えてくれたお陰。どう伝えていいか分からないくらいで、胸がいっぱい」と感無量。「家元の教えの『継続は力なり』を守り、これからも好きな民謡を教えていきたい」と91歳とは思えない元気はつらつとした口調で話した。
 南加日系婦人会の生田博子会長は受賞者に向け、さらなる社会貢献を促し「すばらしい5人を表彰できてうれしい。今日また新しい『ご縁』が生まれたので、この『絆』を大切にしてほしい」と期待を掛けた。来年が同賞を授与してから50周年にあたるとし、参加者に向け「新たな気持ちで進んでいこう」と呼び掛けた。【永田潤、写真も】

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