手作りの国

0

 
 「みんな共和国」は、『軍曹』と慕われる戸田光司さんらによって建国されました。場所は、福島県南相馬。
 地震、津波、原子力発電所の爆発によって町の大半が破壊され汚染されました。現在住む事は許可されていますが、子供たちは外遊びが制限されています。
 ですから、学校や家の中で過ごす事がほとんどでした。落ち着きがなくなり、子供らしくない行動が見られるようになりました。
 長期間にわたる子供たちへのストレスに自治体も頭を抱えていました。
 そこで南相馬の人たちや外から応援をする人々が、外で遊ぶ事を禁止された子供たちを救うために立ち上がったのです。
 企業や個人から寄付を募り、半年かけて公園を除染して、何度も線量を測り、親の同意を得て、手作りの国を作り上げたのです。
 子供たちは丁寧に除染された公園で水を掛け合い、泥をかぶって、木から飛び降り、空へジャンプしています。
 生き生きとした子供たちの歓声と笑い声が、夏休みの短い期間だけ開放された公園に響きました。
 「正しく理解して、怖がる事」が大切だと『軍曹』は言います。
 今この地に住む多くの人たちに何よりも必要なのは、本当のことを正しく理解してもらうことでした。
 放射線の知識を正しく理解し、正しく怖がることが必要だと説きます。
 そしてやむを得ず町を去る人を尊重しながらも、町に残っている人たち、特に子供たちに必要な遊び場を与えていこうと目を輝かせています。
 だから『軍曹』のまわりには、一緒に遊びたい子供たちがいつも集まってきていました。
 どんな状況であっても、少なくとも子供たちは全力で生きようとしています。だからこそ南相馬で生きようとしている子供たちを、私たちは正しい目で見守るべきだと感じました。
 そして国も行政も大企業もできないことを、信念と仲間の力とで完成した手作りの国に、心からの拍手を送りたいと思いました。【朝倉巨瑞】

Share.

Leave A Reply