アメリカは病んでいる

0

 
 笑ったり怒ったり泣いたりした今年もあとわずか。やり残したこともあったりして、何か忘れ物をしたような心もとなさと慌ただしさに包まれる年の瀬。しかし、そんな感傷にひたる時間もなく、新しい年はすぐ街角まで来ている。残り時間が迫るなか、本紙新年特別号の印刷も秒読み段階に…。
 時間とお金がもっと必要に感じるこの時季、すべての人に等しく与えられているはずの時間の使い方は難しい。人によりバラツキが大きいお金の使い方はなお難しい。家計はもとより、誰もが納得いく方法で国や地方財政の収支を計るのは至難なこと。夫婦喧嘩や与野党間の争いも、無いから起こることが多い。
 通常、お金はあれば使いたくなる。お金は使って初めてその価値が具体的に現れる。タンス預金は心理学的にはプラスに作用するとしても、経済学的には新たな付加価値は生み出さない。
 もう一つ、あれば使いたくなるものは何か。異論があるのを承知であえて言えば、それは銃。14日、コネティカット州の小学校で起きた児童ら26人が犠牲になった乱射事件。手もとに銃がなければ起こり得ない大惨事が繰り返し起きているアメリカ社会。
 こうした事件が起こるたびに叫ばれる「銃規制」の必要性。いつもは銃規制に猛反対を唱える全米ライフル協会でさえ今回は、「事件の再発防止に向けて意味のある貢献を行う用意がある」と殊勝な姿勢。しかし、世論は2分されていて、法規制の先行きは不透明。規制のできないアメリカは確かに病んでいる。
 ところで、日本には「気違いに刃物」という慣用句がある。しかし、包丁を規制せよとの動きは聞かない。刃物と銃とでは殺傷能力に差があることだけが理由ではないはずだ。銃に対する歴史的、社会的背景が異なるとはいえ、このまま銃器を実質的な野放し状態にしておいたら、世界一の大国を自認するアメリカの知性が泣くだろう。銃の野放しは犯罪しか生まない。
 「人の命を奪う道具を製造し、売り買いして喜んでいる状況」は早く変えていかなければならない。残された時間はそんなにないはずだと書いてきて、この稿の締め切りまであと1分…。読者の皆さま、素敵な新年をお迎えください。【石原 嵩】

Share.

Leave A Reply