多くの政党が競った日本の総選挙が終了した。この選挙には日本国外からも在外投票によって私たち在留邦人が参加し、一票を投じた。選挙結果は自民党の圧勝、民主党の惨敗、日本維新の会の第3党進出など、大きな変化となった。これが有権者の審判の結果であり、今後は選んだ議員たちの実行力をしっかりチェックし、次の選挙に生かさなければならない。
 私たち夫婦も期間中に在外投票に行ったが、金曜日という平日だったこともあり、投票に来ていた人はまばらでさびしいかぎりだった。
 海外在住の日本人による在外選挙の投票は2000年6月の衆議院選挙から実施され、その後、衆参の通常選挙だけでも9回実施されたはずだが、参加(投票)率は残念ながらたいへん低いのが実情だ。現在推定85万人といわれる海外有権者のうち、投票率は数%(ひとけた)が続いている。
 在外邦人には日本国内の日本人には不要な「海外選挙人登録」が義務付けられ、この登録手続きは通常2カ月程度要し、選挙直前では間に合わない。登録をしてなかったため、今回の選挙に参加できなかった人もいたはずだ。在外公館の管轄区域内に3カ月以上継続して住んでいる(または住む予定の)人でまだ未登録の人は、関心の高まった今のうちに「海外選挙人登録」を申請し、次の選挙に備えるようにしたらどうだろうか。総領事館などの在外公館(電話、ネット含む)に問い合わせれば対応してくれる。
 在外投票制度には、まだまだ課題があり、選挙人登録や投票手続きの簡素化が求められる。
 たとえばカリフォルニア州という日本全国土に匹敵する広さで「在外公館投票」ができるのはロサンゼルスとサンフランシスコのみであり、このほか、「郵便等投票」、「日本国内における投票」があるとはいうものの、有権者にとって利便性はわるい。たとえばインターネットによる登録、投票制度の採用など改善が望まれる。
 しかし、私たち在留邦人にとって在外投票の放棄は理由のいかんにかかわらず、日本国民としての権利のみならず義務の放棄でもある。一票の行使もせずに日本の政治に不平不満は語れない。【河合将介】

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