歳暮に穢れを祓(はら)う

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 江戸の昔から人間が生きるということは、穢(けが)れを出すことだと考えられていました。食べれば排泄も必要だし、体には垢という名のゴミがつきます。
 もちろん人間関係の中で溜まったゴミや疲れを落とすことも必要だと考えられてきました。それが歳暮の時期です。
 歳暮とは1年の終わり、年の暮れのことで、歳末と同じような意味です。
 暮れに大掃除するのは、1年間で溜まった穢れを落とし清める意味があります。一年の清算をするという意味で、借金をきれいに返し、仕事納めをしました。
 お歳暮はそういった人間関係の清算(リセット)を円滑にするために、手土産を持って訪問する習慣からはじまったと思われます。
 私たちのDNAには、歳暮に気持ちや心をきれいにして、新しい年を迎えたいという生物学的な欲求が埋め込まれています。
 人間は肉体的に生まれ変わることはできませんが、精神的には何度でも生まれ変わることができるからです。
 自分を見つめることで、私たちは穢れた思いを捨てて、新しい自分を取り戻すことができます。そう、子供の頃の純粋で正直な気持ちになれるのです。
 この一年、自分が家族や周りの方々にお世話になったことを思い出してみてください。
 ひとつでもたくさん思い出してください。
 あなたをお世話し、気遣った人たちの気持ちを深く悟ってみてください。世話になった分だけ、感謝が自分の中に湧き出すのがわかります。
 自分の周りの方々への感謝の気持ちが、次に進む元気や活力になります。
 こうして人間は自分を内観することで気持ちを新たにして、精神的に生まれ変わることができるのです。
 年をひとつ重ねますが、人間としての奥の深さも重ねることになるのです。
 新しい1年がやってくる前に、今一度自分を見つめ、穢れを落とし、新しい自分に生まれ変わる準備をするのがこの歳暮の時期なのです。【朝倉巨瑞】

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