レスリングの五輪除外候補

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 東京が立候補する2020年の夏季五輪競技からレスリングが姿を消すかもしれず、窮地に陥っている。関係者のショックは隠せず、日本にも衝撃が走った。1896年の第1回大会から続く競技だけに競技人口の少なさや人気の低さなど改善策を講じてこなかった。伝統の上にあぐらをかき、決定に「予想外」「寝耳に水」や「キツネにつままれた」などと、危機感をまったく抱いておらず怖い話だ。
 ただ、9月に下される最終決定で生き残る道はあるものの、状況は厳しい。復帰を目指す野球・ソフトボールなどと残り1枠を争う。日本のレスリングは吉田、伊調馨が五輪3連覇を果たすなど、男女でメダルを量産できる種目であるが、野球・ソフトのメダル獲得は最大で2。日本国民としては、人気種目だけに、どちらが勝ったとしても複雑な思いがするだろう。
 同じく除外候補に挙がっていたテコンドーは近代五種とともに、レスリングを僅差で下した。同2種目は、ルール改正など努力を重ね土俵際で何とか踏ん張った。韓国のテコンドーは、朴次期大統領自らIOC会長に存続を訴えるなど、日本が見習うべき得意のロビー活動が実を結んだ。
 レスリングはフェンシングと並び、欧州各国で「国技」だと勝手に思い、除外はないと思っていた私。近代化を進めるIOCの政策を甘く見ていたが、今回の判断で覆された。
 野球が落とされた時には、理由を示されても「ヨーロッパ人は野球をしないので」などと思っていた。だが今回、逆に欧州発祥のレスリングがアジアの武道よりも低く評価されたことで、平等な判断をされ、IOCが世界最高峰のスポーツ機関であることを思い知った。
 日本のお家芸の柔道も、うかうかしてはいられない。将来、テコンドーと争う日がくるかもしれない。米国(おそらく世界)には、テコンドーのジムが数多くあり、小さな子どもたちが黒帯と五輪の金メダルを目指し稽古に励んでいる。一方の柔道場は、数えるほどで悲しい。「日本に追いつけ、追い越せ」と、掛け声の下に国際社会で地位を上げる韓国は強い。レスリングの二の舞いにならないためにも、今回の教訓を生かさなればならない。【永田 潤】

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