レフェリーの威厳

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 スポーツを見るのが好きだが、最近ふと気付いた点がある。種目によってレフェリーの扱われ方というか、レフェリーに対して選手の態度が違うのだ。サッカーとラグビーを例にあげよう。
 サッカーでは、レフェリーの判定に文句を吐き捨て、わざとらしい大げさなジェスチャーでアピールする選手がよくいる。明らかに不満を表し、凄まじい形相で、レフェリーの顔面近くまで迫り罵倒する光景も目にする。
 もちろんレフェリーの判断で、イエロー(警告)カードやレッド(退場)カードを出せるが、その都度出していたら恐らく試合にならないだろう。端から見るとレフェリーがかわいそうに思えてくる時もある。言うことを聞かない、わがままな利かん坊たちを仕方なくあやしているかのようだ。
 一方、ラグビーはというと、レフェリーが反則の笛を吹いたら、大抵の場合、選手はどんなに興奮していても、異議を唱えず裁定に素直に従う。まるで父親にしかられた息子のように肩を落とし引き下がる。もし文句など言ったら、シンビンといわれるイエローカードを出され、10分退場を強いられる。
 選手同士の激しい掴み合いになると、仲裁に入るレフェリーは両チームのキャプテンや当該選手を呼び出し、落ち着くように諭す。選手は反省し謝る。秩序を乱さないようにと先生が生徒に教育指導しているようだ。
 サッカーと違いラグビーのレフェリーは、絶対的な威厳を持つ。選手たちもその教えを十分理解した上で試合に臨む。さらにラグビーのレフェリーに関して面白いのは、試合を円滑に進行させようと、反則しそうになる選手に早くどきなさい、と注意を促したり、早くボールを出しなさいと、指示したりするのだ。丁寧にルールを説明してくれる時もある。
 どちらも基本的に副審が2名いるが、サッカーは22人、ラグビーは30人もの選手が同時に動くのだから大変な任務であることは間違いない。もちろん走り回る体力もなければ務まらない。
 それにしてもサッカーもラグビーもイギリス発祥のスポーツだが、レフェリーのこの威厳の違いは、どう生じたのだろう? 興味深い。【長土居政史】

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