反ユダヤだったルーズベルト

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 アメリカ第32代大統領、フランクリン・D・ルーズベルトといえば、1933年から45年まで12年間大統領職にあった「民主党リベラル派の大政治家」。米政治史上、2期以上大統領職を務めた唯一の大統領である。
 リベラル派から見ると、ニューディール政策をはじめとする福祉国家的政策を導入し、アメリカを大恐慌から脱皮させ、外交面では日独の侵略を阻止するべく第二次大戦に参戦、戦後の国際秩序を確立させた「英雄」である。だが、日本人から見ると、ルーズベルトは日本軍が1941年12月8日、米ハワイの真珠湾を攻撃したときの大統領であり、日系人・在米日本人を強制収容させた大統領である。
 一冊の本がすでに出来上がっている政治家のイメージを一変させることがしばしばある。「リベラル派の旗手・ルーズベルト」もその例外ではなかったようだ。
 「この男、かっこいいことを言っていたが、実は徹底したユダヤ人嫌いだった」——そう言い切ったのが、近著「FDR and the Holocaust」の著者、R・メドッフ博士だ。膨大な資料を基にメドッフは、ルーズベルトのユダヤ人嫌いを示す新証拠を列挙している。
 ▽ルーズベルトは、1923年、ハーバード大学にはあまりに多くのユダヤ人が在籍しているとして、移民割り当て制度を導入させた。
 ▽ルーズベルトは、38年、ポーランドにおける反ユダヤの風潮は、ユダヤ人がポーランド経済を牛耳っているからだと私的会合で述べていた。
 ▽ルーズベルトは、43年、チャーチル英首相との会談で、「ユダヤ人は一カ所に集めず、世界中にばらばらに住ませるのがいい」と発言。
 こうした個人的なユダヤ人観を反映してか、33年6月、ドッド駐独大使に、「ナチス・ドイツがドイツ在住のユダヤ人にひどい仕打ちをしているようだが、アメリカ国籍のユダヤ人に犠牲が出ない限り、米政府としては何も出来ない」と述べていたという。
 著者は、こうした基本姿勢が600万人を虐殺したホロコーストを防げなかったと厳しく指摘している。
 本書が発端となって、米知識人の間では「ルーズベルト再評価」論が出ている。【高濱 賛】

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