岸田外相が小東京訪問:日系5団体を視察し激励

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ゴーフォーブローク日系兵記念碑で献花する岸田外相

 中南米3カ国歴訪を終えた岸田文雄外相が帰途でロサンゼルスに立ち寄り3日、小東京を訪れ日系5団体を視察した。新美潤総領事の案内で全米日系人博物館、ゴーフォーブローク日系兵記念碑、日米文化会館、交番、敬老引退者ホームを訪れ激励した。また日米関係に寄与する諸団体の代表24人と懇談し、長年の活動に謝意を示した。【永田潤、写真も】

記念碑に刻まれた日系兵士の名を読む岸田外相

 博物館では1世の入植から農村や個人事業での成功、それとは一転して排斥運動、第2次世界大戦時の強制収容、そして戦後の復興、現在は日米関係の一翼を担う4世、5世へと変遷する日系史を知った。日系兵記念碑では、大きな花輪を手向け名誉戦没者らの英霊を慰めた。出迎えた3人の退役兵から日系兵が昨年授与された米国最高勲章の議会ゴールドメダルのレプリカを贈られ「日本に持ち帰り、みなさんの思いを国民にしっかり伝えたい」と述べた。「日本人が敵と味方に分かれて戦った」などと悲劇の説明を受け、「みなさんの思いの深さを感じた。記念碑を前に感激している。歴史を振り返り、歴史の重みを感じながら、それを未来に生かさなければならない。それがわれわれの責任だと思う」と話した。
 日米文化会館はレスリー・イトウ館長が案内し、アラタニ劇場とノグチプラザ、日本のアニメ展を見学した。同館の小阪博一アートディレクターによると、外相は広島市の2つの川に架かる橋の欄干をイサム・ノグチがデザインしたことを知っており、その芸術センスの高さを認めている。「ここにもノグチの作品があるとは知らなかった」と、興味深く鑑賞していたという。アニメ展は、日本政府が推し進めるクールジャパンの事業に合致するだけに、じっくりと時間を掛けて見て回った。イトウ館長は「外相は熱心に質問し、日本文化の紹介という活動に理解を示してくれ、とてもうれしい。われわれの組織を訪れてくれ、とても光栄だ」と述べた。

懇談会であいさつする岸田外相(左)

 同館のガーデンルームでは、外務大臣表彰や農林水産大臣表彰、勲章受章者など、両国の橋渡し役を務める諸団体の代表らと懇談した。あいさつに立った外相は、日本の外務大臣が当地を公式訪問するのは河野洋平氏以来19年ぶりだとし「西海岸で頑張っている日本人の様子を知って意見交換し、日本の外交についても意見を聞くことができれば」と、訪問の理由を説明した。  
 小東京の視察を通し「日系人がそれぞれの立場で長い歴史の中で苦労して頑張ってきたことが分かった。こうした歴史を振り返りながら、日本の政府もしっかりとみなさんの活動を支援しなければならないと感じた」と話した。東日本大震災の支援に対し「みなさんから温かい力添えをいただいた。その復興の姿を世界の人々に見てもらうために2020年の東京オリンピックを開催するために頑張っている」と、日本の取り組みに力を込め、懇談に入り、参加者一人ひとりと、あいさつを交わし、各団体の活動やそれぞれの意見に耳を傾けた。
 小東京協議会議長の岡本雅夫さんは、小東京の地下鉄の路線接続と新たな駅の建設や歴史保存などさまざまなプロジェクトを紹介し「外務大臣はコミュニティー活動にとても興味を持っていた。特に小東京の歴史保存と、交番の市民が町を守る活動に関心を示していた」と述べた。
 在外投票実現のために活動した海外有権者ネットワーク会長の高瀬隼彦さんは、これまでの活動を説明し「(7月の)参院選もここから投票できます」と伝えた。
 握りずしの普及に貢献した共同貿易会長の金井紀年さんは、1985年の元日にセンチュリーシティーで開かれた当時のレーガン大統領の歓迎会に臨席し、メニューにその頃は、まれだった、すしが振る舞われた時の感激を紹介した。金井さんは、日本の若者の内向的な性格を憂いており「海外に出るべき」と唱え、政府の留学奨励を願い出た。
 オレンジ郡日系協会会長で実業家の藤田喜美子さんは、多くの日系企業が進出するアーバインを中心にした同郡の発展ぶりを紹介した。地元の大学と短大で日本語を学習する生徒が約500人いるとし「日米関係に重要なのは若者の人材育成で、その基礎は語学である」という持論を述べ、日本語学習者のためのよりよい環境づくりのための日本政府の援助を求めた。同協会の活動には「27年も続き、すばらしいですね」と誉められたという。
 岸田外相は約50分にわたり、参加者の意見を聴いた。参加者に向けあいさつし「それぞれの活躍する様子が分かり、みなさんから元気をいただいた。日本の国そのものが頑張り、元気を出すことが海外で頑張る日本人を後押しすると思う。それぞれの地域、立場で頑張って活躍してほしい」とエールを送った。

伊原北米局長が「帰郷」
「総領事、お帰りなさい」

 「総領事、お帰りなさい」。「総領事」とは、前職のことで、岸田外相の外遊に随行した伊原純一・北米局長が、日米文化会館での懇談会で歓待を受けた。「お久しぶりです」「お元気ですか」「懐かしい」「変わらないですね」などと、当時の懐かしい話に花を咲かせた。
 在任中は、二世週祭や第九合唱、50周年、100周年の記念祝賀会など、さまざまな行事に参加した。コミュニティーの発展と日米関係の強化のためにともに汗を流した同士との再会について「懐かしい方々の顔を見ることができ、みなさんが元気に活躍するのを見て本当にうれしかった」と、感動の面持ちで話した。
 3年4カ月という異例の長い任期でコミュニティーに深くかかわっただけに帰任の際には「ロサンゼルスは第二の故郷だ」と、真規子夫人ととも親しくなった人々との別れを惜しんだ。「家内はまだロサンゼルスの生活のことを懐かしんでいる。帰ったらみなさんが元気に頑張っていることを話したい」と、「帰郷」を伝える。

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