犬は「凶器」にもなる

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 2年前にシェルターからアダプトした愛犬が、散歩中に2匹のロットワイラーに襲われ、4時間に及ぶ大手術の後に息を引き取った。
 目の前で起った残虐な襲撃は、リードを持っていた相手の飼い主が引きずられるほど激しく、その映像は心に深い苦しみを残した。低く響きわたるロットワイラーのうなり声、絞り出された愛犬の最期の悲鳴が頭から離れず、2カ月が経った今でも、時々吐き気をもよおす。
 愛犬の死後、事故を報告するため郡のアニマルコントロールに連絡したが、「対人被害しか記録しない」と言われ、市のシェルターに回された。ところがシェルターでも返答は同じ。「凶暴化した放し飼いの犬が襲ったのなら話は別だが、すれ違いざまに犬同士の間で何かがあり、突然襲われたのなら、それは不運だったとしか言いようがない」と片づけられた。
 この犬が次に子どもを襲う可能性もあり、そのためにも記録に残しておく必要があると訴えたが、「犬同士の攻撃や喧嘩はよくあること」。さらには、「相手はロットワイラーだろう? 仕方ないよ。そういう犬なんだから」と言われ、頭を鈍器で殴られたかのような衝撃を受けた。
 動物が人に危害を加えた場合は記録を残し、状況によって安楽死もある。また人が動物に危害を加えた場合は動物虐待として扱われる。しかし動物同士の場合、相手が最初から手の施しようがないほど凶暴でない限り、民事で医療費の請求をする以外、被害を受けた動物を守る法律がないことを、今回、愛犬の尊い命を失って初めて知った。
 人と犬の歴史は長く、犬が家族、社会の一員であることに間違いはない。しかし、犬はやはり動物。野性的な部分もあり、突然凶暴化することもある。もし散歩中に突然、何らかの理由で飼い犬が暴れ出したら、全身でそれを制御する力があなたにはありますか。「うちの子に限って」と思っていませんか。
 被害者にも加害者にもならないために、犬の大小、犬種にかかわらず、飼い主は飼い犬を百パーセントコントロールする義務があり、それが社会のルール。これ以上被害を出さないためにも、ぜひ、飼い犬のしつけと扱いをしっかりとしていただきたい。【中村良子】

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