草月流:壮大ないけばなライブ披露

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枯れ木にひまわりを生け、日本の夏を表現した大作。中央が草月流家元の勅使河原茜氏 (c)Toyo Miyatake Studio


秋をイメージし、枝垂れ紅葉を生ける家元 (c)Toyo Miyatake Studio


 いけばな草月流第4代家元勅使河原茜氏による「家元いけばなライブ」が4月27日、小東京のアラタニ劇場で催された。満席となった会場には、日本人や日系人をはじめ、さまざまな人種の老若男女が集まり、ステージ上で披露される草月流いけばなの「自由で壮大な創造」に多くが魅了された。
【取材=中村良子】
 音楽や照明、演出、会場設備を存分に生かした壮大な同ライブは日本で数多く行われているが、北米ではこのロサンゼルス公演が初。海外支部の中でも規模が大きいロサンゼルス支部(武市玉春支部長、会員100人)が主催したことで実現した。
 ステージ上では、「春夏秋冬」をいけばなで表現。約1時間半におよぶライブで家元は、大作2つを含む全6作品を披露。さまざまな花や植物が1つの器に生けられることにより、色や質、形や特徴の違いがより引き立てられ、その自然が見せる美しい表情に会場からは終始、感嘆のため息がもれた。
 作品に使われた花材はすべて、地元南カリフォルニアで仕入れたもので、ロサンゼルスの花市場を訪れた家元は、「花の種類の豊富さはもちろんですが、枝ものの多さ、また1つの花の種類に対し豊富な色が揃っていることに驚いた」といい、市場で珍しい花を目にするたびに作品のイメージが広がり、刺激を受けたと話した。
 草月流の特徴ともいえる壮大なスケールのいけばなに使用された大木をはじめ、サイズの大きな素材はラカニャダ・フリントリッジにある「ディスカンソー庭園」からの寄付や、一般家庭の庭から譲り受けた。家元によると、ライブで使用した植物は決して無駄にせず、土に還るまで何度も再利用してその美しさを最後まで楽しむという。
 四季を表現した最後の大作を作り上げた後、満席となった会場はスタンディングオベーションに包まれた。公演を終えた家元は、「いけばなは言葉が通じなくとも、音楽や照明、また作品が作り上げられる変化を体で感じてもらえる」とし、海外でもいけばなの素晴らしさは十分に伝わったと話した。また、今回の公演を機に、「花には、人と人とのコミュニケーションやつながり、また笑顔を生み出す力があることを、今回の公演を通じ1人でも多くの人に理解してもらえたら嬉しい」と話した。
 日本では女性会員がメインのいけばなだが、ロサンゼルス支部をはじめ、海外では男性会員も多く、年齢や人種もさまざま。家元は、「日本の伝統文化をなくさないためにも、今後はわれわれいけばな人がその素晴らしさを外に発信していかなければならない」と、今後も海外でのライブ実現に意欲を見せた。
 この日初めていけばなライブを見たベニス在住のカミール・アルガスさんは、そのスケールの大きさに驚くと同時に、「音楽や照明、感情を最大限に活用し、自然の美しさをいけばなで表現している姿に感動した。自然に対する感謝の気持ちがさらに膨らんだ」と、ライブを満喫した様子だった。
 また、東京に在住していた1989年に草月流のいけばなに魅了され、現在はニューヨーク支部の会員として器の制作にも取り組むダグラス・ホウトクエストさんは、この日のためにミネソタ州からライブを見にきた。「花材だけでなく、器など地元のものをふんだんに使っており素晴らしかった」。また、これだけスケールの大きなイベントを成功させるには、ロサンゼルス支部の並々ならぬ努力があったに違いないと、支部会員をたたえた。

北米初のいけばなライブを実現させたロサンゼルス支部メンバーら。2列目左から6人目が武市支部長 (c)Toyo Miyatake Studio

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