もずく醤油を紹介した勝連漁業協同組合のブース
もずく醤油を紹介した勝連漁業協同組合のブース
 「米国日系レストラン協会(JRA・波多野勲会長)」は、多種類の日本食や地酒を一堂に集めた大規模の試食会「日本食の祭典」を11日、ユニバーサルシティのホテル、ヒルトン・ロサンゼルスで催した。参加者約1000人が、地元の有名和食店などが提供したおいしく、質の高い料理や地酒、デザートを堪能した。
 14回目を迎え、秋の恒例イベントとなった。ラーメンやそば、焼き鳥、たこ焼き、和風アイスなど庶民の料理はもとより、すし、刺身、うな丼など高級料理を揃えるラインナップで、日本食の幅の広さを強調した。ブースには、どれも長い行列ができる盛況ぶり。熟練の職人による240ポンドのマグロの解体実演やすしの早食い競争など、エンターテインメント性に富んだ催しも行われ会場は大いに沸いた。
多くの見物人が集まったマグロの解体の実演
多くの見物人が集まったマグロの解体の実演
 和食人気の波に乗ろうと、日本から米市場に本格参入するメーカーも多く、ブースでは食べ方など積極的に説明した。
 もずく醤油を紹介した沖縄の勝連漁業協同組合は「普通の醤油に比べ塩分は半分で、整腸作用もある」などと、健康食を前面に押出した。試食はスープ、豆腐、サラダ、クリームチーズ和えの野菜巻などを紹介。代表理事組合長の上原勇行さんは「アメリカ人は海藻が体にいいことを知っているので、好奇心を持って食べてくれた」と手応えを掴んだ様子。魚、肉、野菜など何にでも合うことを強調し「アメリカには、いろんな国の食材があるので、その国の料理に合わせて食べてもらいたい」と希望し、「もずくパスタ」や「もずくタコス」などの新レシピの考案に可能性を見出した。商品はミツワマーケットで販売し、各店での実演販売に意欲を示した。
 横井醸造(東京本社)は、高級酢を売り込む。ミシュランガイド東京版に載る24軒のすし店のうち、17軒が同社の酢を使用しているという。同社の横井太郎社長によると、1年前に米国進出した理由を「質が高く、よりおいしい日本食を食べたいという人が増え、本当のいい素材を使いこなせる職人がいるから」と説明し、米酢、すし酢、黒酢、ぶどう酢、ハチミツリンゴ酢の5種類を販売する。黒酢は、フレンチ、中華のソースやドレッシングなどにも適する汎用性の広さをアピールする。今回初参加した食の祭典では、薄めて飲んだり、料理にかけて食べたり、ヨーグルトにかけるデザートビネガーなど、さまざまな食べ方を提案した。「すし酢がおいしい」「お酢なのに食べやすい」「どこに売っているのか」などの反応に対し「本当においしい食べ物を求めている人が増えていると実感した。海外はまず、アメリカから積極的に売り込みたい」と展望を示した。ヘルシー面も強調し「1日にスプーン1杯(約15CC)飲むと血圧を下げたり、肥満体質を改善できる」などと説明していた。
 日本で修業した波多野会長は、料理の質にこだわる。今回提供した料理について「みんな日本の本来の味だ」と自信を示した。その一方で、日本人の和食店オーナーの割合が減少する中、衛生面を含めた質の低下を指摘し「崩して(アレンジ)、アメリカナイズされてもいいが、基礎がなければ和食ではなくなる」と警鐘を鳴らす。伝統の日本食の普及という活動方針に変わりはないとし「きちんとした日本食を作る店が増えるように手伝いたい」と抱負を述べた。JRAの今後の運営については、フェイスブック、ツイッターなどソーシャルネットワークを活用した活動の紹介に力を注ぐ考えを示した。【永田潤、写真も】

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