生八つ橋

0

 
 新年おめでとうございます。本年もよろしくお願いします。お正月なのでまず笑って読める気楽な話を。
 昨秋京都のあちこちを友人に案内され歩いた。京都入りの前に土佐の高知に行き、桂浜の坂本龍馬記念館などを訪れたこともあり、京では因縁として幕末に会津藩松平容保が京都守護職の陣を置いた左京区の金戒光明寺を訪ね、お寺側の詳しい説明を受けた。
 その帰りである。金戒光明寺の左京区とくれば生八つ橋であるから、それを本場の町で買おうと平安神宮の近辺を歩いた。なるほど生八つ橋の老舗らしき店があちこちにあったのだ。で、どの店も夫々に自分が一番古いのだと主張する看板や旗を表に飾り誇示している。
 まずあったのが「本家」であった。すると別の所に「総本家」を名乗る店がある。「宗家」と「本舗」があったと思ったら次に「総本舗」ときた。「本店」があったら別に「総本店」、そして「元祖」まである。「一番古い店」というのまであった。中には向かい合っている店まである。どれが本当に一番の祖なのか分からない。いや、これは分からないままにしておくのが花で、理屈を言って追求するのは野暮かもしれない。
 八つ橋は、江戸時代元禄の頃に始まったとされるから、およそ300年の歴史があり、この辺の製造元も創業は古い所で約300年だし、200年位の店も多い。
 元々それらは固くせんべい式に焼いた八つ橋で、今お土産に人気の生八つ橋が出てきたのは約50年前のことでその歴史は新しい。元祖や本家を競う店も、昭和の1960年代の高度経済成長期に生八つ橋を夫々売り出したと思われる。戦後、経済成長と共に名菓として育ってきたのだ。今では京都の主要なお土産品だ。もっとも今では全国で売っており、東京駅はもち論のこと成田でも、ここ南加の日系スーパーでも売っているから便利になった。
 八つ橋ではないが、当地の日本人新一世の人々は日本では長い系譜を持っていても、ここでは自分が初代になるので、今後も家系が続けば米国での家名の「元祖」になってゆくわけだ。正真正銘の米国「本家」になる。【半田俊夫】

Share.

Leave A Reply