ザ・マジカル・ウェーブ

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 先日、アメフト全米大学決勝戦でランキング4位のオハイオ州立大学が、2位のオレゴン大学を破り見事チャンピオンに輝いた。今年から上位4校がプレーオフで争うシステムに変更された。テレビ観戦だったが、30年前、アメリカに来て初めてアメフトの試合を生で見た時のことを思い出した。
 ドーム型スタジアムのスケールの大きさに驚いたが、もっと印象に残っているのは、エキサイトする観客の騒ぎ方だ。ストレス発散なのか、みな思いっきり笑って喜んでいる。 大げさとも見えるリアクションで一喜一憂する彼らを見ているだけでも楽しめた。
 そこで初めて本場の「ウェーブ」も体験した。順番に両手を広げて席から立ち上がる動作が続き、遠くから見ると「ウェーブ(波)」がなびいているように見えるのだ。
 興奮と緊張の中、皆と一緒に声を張り上げて立ち上がっては再び座る。満員のスタジアムにウェーブが回り始める。通り過ぎると早くまた来ないかと待ち遠しくなる。
 試合そっちのけで、ウェーブする方が楽しくてたまらない。試合状況が急変すると、進行中のウェーブが中断して消滅したりする。それにブーイングする観客もいる。スポーツはこうして楽しむのかと心から感動した。
 ウェーブの起源は諸説ある。1981年のオークランドで行われたメジャーリーグの試合中、もしくは同年シアトルでワシントン大学のフットボールの試合中に起きたともいわれる。
 大学時代のパナマ人の友達と昨年久しぶりに会いドジャーズの試合を見に行った。一緒にウェーブを楽しんだ。その時、彼が「ウェーブの原点は、1986年メキシコで開催されたワールドカップサッカーだ」と言った。アメリカでは聞かないが「メキシカン・ウェーブ」とも呼ぶらしい。
 ある限られた空間で、大勢の他人と一緒にアクションを起こし、喜びを分かち合う一体感が、ある種の不思議な感動と調和をもたらすのだと思う。まさにマジカル・モーメントだ。この「一体感」のコンセプトを活用して、平和な社会作りに何か貢献できないだろうか?【長土居政史】

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