農水省と企業 :日本の「介護食」紹介

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日本の介護食を試食するナーシングホームの入居者

日本の介護食を試食するナーシングホームの入居者

 日本で開発販売されている「介護食」を米国で紹介する目的で日本の農林水産省と関係企業が12日、ビバリーヒルズにあるナーシングホーム「The Rehabilitation Centre of Beverly Hills」を訪問した。実際にケアが必要な入居者や施設で働く栄養士に試食してもらい、米国で日本の介護食は受け入れられるのか、その調査と意見交換が行われた。【吉田純子、写真も】

解凍後の介護食。(右上から時計回りに)ホタテのガーリックバター焼き、おかゆ、野菜の煮物、エビグラタン

解凍後の介護食。(右上から時計回りに)ホタテのガーリックバター焼き、おかゆ、野菜の煮物、エビグラタン

 現在日本では高齢化が進み、家庭でも介護が必要な高齢者が増えてきている。こうした高齢者は飲み込むこと、噛むことが困難な人が多く、介護食品の需要はますます高くなってきている。こうした中、十分な栄養が摂取できるよう工夫された介護食の開発が、各社、十数年前から進められてきた。
 農林水産省ではこうした介護食品の普及のための取り組みを実施。介護食品は「スマイルケア食」とも呼ばれ、これまでの介護のイメージを変え、介護する人、される人がともに「笑顔になれる食品」として認知してもらうことを目指している。現在は肉などの一部食品に輸出規制があり、米国での展開は行われていないが、いずれ米国をはじめ世界各国への輸出促進を図っていきたい考えだ。
 米国で日本の介護食を紹介するのは初の試みで、患者や施設スタッフの反応を見て、今後どのようなアレンジが必要か参考にしていくという。
 今回試食してもらった介護食。冷凍またはレトルト食品になっている


今回試食してもらった介護食。冷凍またはレトルト食品になっている

 今回参加した企業は介護食品を開発、販売しているイーエヌ大塚製薬、キューピー、明治、ハウス食品の4社。一行は11日からサンフランシスコで開催されていた食品見本市にも参加し、日本の介護食品を出展した。
 同ナーシングホームの訪問にはイーエヌ大塚製薬の担当者が同行した。開発に携わった同社の林雅浩氏によると、これまでの介護食は見た目が食欲をそそらないものが多かったという。しかし、酵素を食品に浸透させることで、食材本来の形や色、味、栄養素をそのままに、舌でくずせるまでやわらかくした商品を作り上げることに成功した。「通常の食事が食べられない人に、食べる機能を回復してもらうことも目的のひとつ」と話す。
 同社では和食を中心に中華、洋食など41種類の介護食を開発。2010年から販売を開始し、現在は在宅介護が必要な家庭や病院などに提供している。
 こうした介護食品の価格は1食およそ500円前後で、おもに通販で販売されている。商品は冷凍かレトルト食品になっており、調理方法は電子レンジか湯煎で温めるだけ。
日本の介護食を紹介した農林水産省の石田寿審議官

日本の介護食を紹介した農林水産省の石田寿審議官

  今回紹介したのは、ホタテのガーリックバター焼き、エビグラタン、おかゆ、野菜の煮物、ゼリー状の水分補給食の5品。実際に試食した同施設の入居者は「柔らかくて食べやすい」と話す一方、「ホタテはしょっぱい」との意見もあった。また糖尿病患者の入居者からは「ゼリー状のドリンクは甘いので、糖分が心配」との意見も聞かれた。
 栄養士からは、「エビグラタンは美味しく、付け合わせのブロッコリーも硬くなくて食べやすい。煮物はもう少し柔らかい方が食べやすく、ホタテはもう少し塩分を控えた方がいい」との詳しいアドバイスもあった。「おかゆは何も味がしないけれど、おかずと一緒に食べたらいいのね」と、日本食の食べ方も理解した様子。
 農林水産省の石田寿審議官は、「実際に試食してもらい、今回得た反応を今後の開発促進に生かしていきたい」と述べ、世界の高齢者の健康寿命の延伸にも貢献していきたいと力を込めた。

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