顧問の筒井さんの発声で、乾杯をする太田会長(中央左)ら参加者
顧問の筒井さんの発声で、乾杯をする太田会長(中央左)ら参加者
 112年目の新春を迎えた南加三重県人会は2月15日、2015度総会をモンテベロのクワイエット・キャノンで開き、太田勉会長の5年目続投が決まった。親睦会には約60人が参加し、故郷に思いを馳せながら会話を弾ませ旧交を温めた。

 今年度の役員が紹介され、会員の期待を込めた大きな拍手による満場一致で承認し、正式に就任した。太田会長が新年度のあいさつに立ち、介護不要の日常生活を送る「健康寿命」にふれながら「今年もみなさんと元気に顔を合わせ、新年を迎えることができ、とてもうれしく思う」と述べた。「今日は一日、楽しんで下さい」と呼びかけた。
 顧問の筒井完一郎さんが音頭を取り乾杯し、昼食をともにした。第2式の余興は、フラダンスや会員が寄贈した40インチLEDテレビなどが当たるドアプライズの抽選会を楽しんだ。

「健康でいるために」をテーマに話す三重大学副学長の西村訓弘教授
「健康でいるために」をテーマに話す三重大学副学長の西村訓弘教授
 三重大学副学長で大学院医学系研究科の西村訓弘教授が訪米し、「健康でいるために」と題した、食べ物と健康に関わる講演を行った。同研究科は、海の幸に恵まれた三重の特産物である海藻のアオサに着目。多糖類を多く含むアオサから、がん抑制や免疫力を高める作用や、血液凝固による動脈硬化を防止する効果が認められているラムナン硫酸を抽出し、応用する研究に力を注いでいる。サプリメントの開発を進め、地元企業と協力し、製品化に努めているという。
 教授は、トマトや柚、ゼブラフィッシュなどを使ったさまざまな研究を紹介しながら「ただお腹を満たす『生活食』を取るだけではなく、食物に含まれる栄養素の性質をしっかりと理解した『健康食』を食べて健康な体を作ってほしい」と呼びかけた。さらに「抗酸化など、食べ物が持つ力を利用して命を守る『生命食』について消費者に伝えたい」と抱負を述べ、研究にいっそう励む意欲を示した。
 新年会には、地元三重から米国に進出する2企業が参加し、県人会への継続した協力を約束した。井村屋USA(本社アーバイン)は、和のスイーツの普及を行い、新年会では大福などを参加者にお土産として配った。江南化工(本社トーレンス)は、三重大と協力したサプリメントの販売を行っており、この日の抽選会に多くの賞品を寄贈。両社には、会員から大きな拍手が送られた。
 入会して約60年が経つ滝川歌子さんは、元会長の夫の政和さんと参加し「今日は、盛大な会に参加でき楽しかった。懐かしい仲間に会って、話すことができて良かった」と喜んだ。三重県民の気質を「積極性がなく、温厚で表に出ない」と表したが「その半面、みんなが仲よくして、古い友人を大切にし、穏やかである」と魅力を紹介した。政和さんが長い間、会長を務めた頃は活気があったというが、時代が変わった。会員数の減少と会員の高齢化を心配しながら「ずっと続いてほしい」と永続を願い、義理息子のディーン原さんが会長を務める「三世会」など、若い世代の活躍に期待を寄せた。
 太田会長は、4年前の就任以来「先輩たちが、1903年の創立から汗水垂らして守ってきた三重県人会の灯火を絶やしたくない」という一心で、運営に当たっているという。活性化のために会員数を増やそうとしたが、振るわない。だが、前述の三重の2社の入会により「これからの県人会の在り方」(太田会長)を見出した。三重に縁のある企業と大学、県庁の「産学官」に働きかけたいとし、具体的には米国進出を志す企業を支援したり、県庁と協力し三重の物産の紹介に力を入れる方針を示した。今回の新年会については、余興に加え初の試みとなった講演会を取り入れたことで「エンターテインメントとアカデミックをミックスした。『充実した内容でよかった』という声が聞けてうれしい」と話した。
 県人会の今年の活動は、新年会を皮切りに、ピクニック(8月)、物故会員の追悼法要と敬老感謝ランチョン(9月)、2泊3日のラスベガス旅行(11月)を予定している。【永田 潤】
県人会の会員が活動する同好会が披露するフラダンス
県人会の会員が活動する同好会が披露するフラダンス

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