
7人のプロ審査員に混じって、緊張気味の素人審査員がひとり(左から3番目)

審査ポイントを書き込むスコア。写真のラーメンは、野菜たっぷりの味噌ラーメン。追加するスパイスは、シンガポールでよく見るチリや豆板醤ではなく、すりおろしニンニクか、焦がしたタマネギでつくった香ばしいたれ
さて、文字通り鳴り物入りで、和太鼓の演奏でコンテストは幕を開けた。早々にシェフたちの真剣勝負ぶりが、そのぶつかり合うような空気から感じられた。審査員に供されるのは、一人前の分量である。日英バイリンガルのモデルのような司会者が、巧みな話術で、会場の雰囲気を盛り上げていく。さっそく一杯目後に、私もインタビューされた。日本で見慣れていた食べ物番組の評論家のように、形容詞をたくさん並べてのコメントはできない。

気合い満点。審査直前、すべての参加シェフが集まって勝ちどきをあげる
さて、結果は私も最高得点をつけた、豚骨味で薄めのチャーシューがどんぶりの縁を飾っていたお店が、今回の優勝者となった。新参者の彼はその後、早速に出店を決めたらしい。どこか別の、人気がなくて閉店したスロットに入ると聞いた。まさに下克上の世界だ。厳しい自由競争で勝ち抜いて行けなければ、結局は舌の肥えたシンガポール人を満足させられないのである。あのコンテストは、まさに生死をかけた戦いであったのだ。たかがラーメン、されどラーメンである。