スマホをバカが持てば…

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 指先一本で好みの情報をインターネットから引き出せて、天気予報から市バスの停留所通過時刻、レストランの予約から約束のリマインダーまで、秘書を一人ポケットに入れているような、しかし路上や駅頭で引ったくられたり、運が悪ければ命と引き換えにせねばならないスマホ(スマートフォン)をやっと手に入れた。
 別に喉から手が出るほど欲しかったわけではなく、操作が面倒そうなのと、古代人の意地(?)から単純操作のフリップフォンに固執して7年、とにかくハイテクにはアレルギー症状を起こす体質で、「わたしゃそんなもの要らない」と頑張ってきたのだが、やむを得ない理由で電話を買い換えることになり、スマホか、ダムフォン(?)かの選択を迫られ、みんなが操っているものを、自分にも出来ないことはなかろうと、半ば見栄も手伝って決断。
 まず取扱店で、セールスマンに手伝ってもらって品選び。値段もいろいろだが、普通の電話とは大違いで結構値が張る。まあ小学生でも持ち歩いているものを、70過ぎたばあさんが所持して何が悪かろう、親の脛をかじっているわけでもあるまいしと、中の下あたりのものを選んだが、それからが大変。
 ソーシャル・セキュリティー番号は聞かれる、ロックを外すために四桁の数字を言えだの、数字とアルファベットを組み合わせて8文字以上のパスワードを決めて打ち込めだの、小さい文字の規約を読んで同意したらクリックしろだの…考える時間も与えられず、フェイスブックなどは登録したパスワードを家に帰った途端に忘れており、それらしき言葉を何度も打ち込んだが開けられず、登録のやり直し。
 番号を友人に知らせたら早速電話がかかってきたが、電話マークをいくらタップしてもつながらない。横で見ていた孫のような子から、「あっ、そのときは右へスワイプするのよ」「はぁ? アリガトね」
 やっとつながったと思ったら、「いまタブレットの良いのが安いけど、買わない?」
 バカがスマートフォンと四つに組んで大相撲の最中に、何を言ってくれるやら。あと5〜6年待ってくれる?【川口加代子】

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