ユタ州在住の高齢者1人が8月上旬、ペスト菌に感染し死亡していたことが、同州公衆衛生局の発表により明らかになった。

 死亡した患者の名前などは明らかにされていないが、70代前半の男性だという。
 当局は現在、感染経路を調査しているが、死亡した男性が自然の多い郊外に住んでいたことから、ペスト菌に感染した動物の死骸などから感染した可能性が高いとみて調査をしている。
 ペストはノミや野生のリス、ネズミなどげっ歯類が媒介する感染症で、発症すると発熱や頭痛、嘔吐、下痢、呼吸困難などを引き起こす。
 当局によると同州で人がペスト菌に感染して死亡した例は、2009年以来だという。
 米疾病対策センター(CDC)によると、今年4月からペスト感染者は6州で11人報告されている。うち9人が男性で、死亡例は16歳と52歳、79歳の患者だった。死亡率は66%から93%。しかし早い段階で抗生物質を投与し、適切な治療を行えば、死に至ることはないという。
 米国では毎年平均して8件ほどのペスト感染が報告されているが、今年は早くも例年の平均を上回っている。
 感染者はコロラド州がもっとも多く、4人。カリフォルニア州でも、7月中旬にヨセミテ国立公園を訪れたロサンゼルス郡在住の少女がペスト菌に感染した例が報告された。また、8月初旬に同公園を訪問したジョージア州在住の男性にもペスト感染と疑われる症状がみられており、現在CDCが感染の有無を検査している。2人は同公園内のキャンプ場を利用しており、キャンプ場は一時閉鎖され、消毒作業が行われた。
 CDCによると、今年、ペスト感染者が多い原因は不明だという。米国では人から人への感染は1924年以来報告されていない。

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