ガソリン価格の余波

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 人は普通、50歳を過ぎるころから健康に気を付けるようになる。特にメタボ気味の人は血圧、コレステロール値、血糖値などの上昇が気にかかるところだろう。
 上がるのが所得なら大歓迎だが、それもあまり期待できない中で、生鮮食料品をはじめとする食費や日用品、それに住居費、光熱費などはジワジワと確実に上がってきている。すでにリタイアしてソーシャルセキュリティーの年金だけで生活している人にとっては血圧が上がり気味の経済環境が続く。
 それというのも、本来は消費者物価指数の上昇に応じてソーシャルセキュリティー支給額も上乗せされるのだが、社会保障局は先週、過去1年間のインフレーション率をゼロと判断し、来年のソーシャルセキュリティー支給額を据え置くと決めたからだ。
 これだけ明白に諸物価が上がっているのにインフレ率がゼロとは腑に落ちない、と感じるのが庶民感覚。しかし、物価上昇率をゼロにする大きな要因があった。それは、このところ大幅に下落しているガソリン小売価格。
 トリプルAによると、ガソリン価格はこの1年でガロン当たり平均90セント以上も下落。一時は4ドルを超えていたガソリン価格だが、このごろは3ドル前後に下がって、多くの人に恩恵を与えている。その半面で、統計的に見ると全体の消費者物価指数を下げる最大要因となって、物価上昇はプラスマイナスするとゼロという判断につながった。
 こうしたソーシャルセキュリティー支給額の据え置きは過去40年で3度あるだけで、すべてが2010年以降のこと。それだけに平均受給月額が1224ドルという年金生活者にとっては、来年も厳しい状況になりそうだ。
 リタイアした人だけでなく、その配偶者、子供、身体障害を持つ労働適齢者なども含めると全米で6000万人近くが受給していて、このままではいずれ破綻するのではないかと騒がれているソーシャルセキュリティー・システム。支給額の据え置きに加えて、来年はメディケア・パートBの掛け金も大幅に引き上げられるから、シニアにとって血圧だけでなく血糖値にも細心の注意が必要な、負うた子に教えられて浅瀬を渡るような年になりそう。【石原 嵩】

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