変化する住空間

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 先に東京に帰った時、やりたいことがあった。それは平均的住宅コンドの内部を見、出来れば住んでみたい、ということだった。われわれに共通した夢の一つに庭付きの一軒家がある。ところが人々は高い返済ローン、長い通勤時間がかかる郊外の一戸建てを捨て、都心の小さなコンドに集中しているという。成る程、駅前は高層住宅コンドが林立していた。その劇的な変化と実態を知りたかった。
 幸い、今回の東京訪問中に、知人が最近買った高層コンドに滞在させてもらった。最初はその狭さ、建材の安っぽさが目に付いた。ところが数日滞在し、慣れてくると、細部にまで配慮の行き届いたもの作りへのこだわりに、さすがは日本だと感心した。
 例えば、トイレ。便座はウオシュレットでお馴染みだが、水を流した後、新しくタンクに流れる水で手を洗える。簡単なのに日本にしかない優れものだ。
 台所も無駄がない。流しの両側は特に大切だ。食材を洗い、切り、左にあるガスコンロの火にかけ料理する。料理人の一連の体の流れが実にスムーズに運ぶ。蛇口は、飲み水用、普通の水洗い用、節約水量と小さなレバー一つで3段階に簡単に切り替えられる。米国の各々別の機器を使った大げさなものと同じ役割をこんなレバーが簡単にやってのける。
 冷蔵庫の野菜室は一番頻繁に開け閉めするから、真ん中の位置にある。その上は濡れた手、物を持っている手でも開けられるように、ドアの前に手をかざすとセンサーで開く。流しのゴミも流れる時に同時に溜まって取れるようになっている。米国のようにディスポーザーの必要がない。
 湿気の多い風呂場が日本家屋では一番最初に傷む所だ。ところが近年はこの浴室が反対に乾燥室になっているのだとか。驚きだ。それでも湿気の多い日本では20年もすれば全ては劣化する。その時は、修理するより全部を新品に取り替えたほうがいい。だから、20年耐久でコストを抑えた建材が使われているのだという。
 狭い国土、湿気の多い気候の中で気持ちよく暮らすために、工夫を重ねる日本住宅の変化に興味は尽きない。
【萩野千鶴子】

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