「これはセロリですか」

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 オレンジとアップル、とは異なったものを比べる愚を言う例えだが、果物、と一括りにはできるし形も球形だが、色も味も違う。
 セロリとキャベツはどうだろう。両方とも野菜で色は薄緑。ところが形はキャベツが球形ならセロリは細長くてスティック状。普通ならこの2つを間違うことは先ずない、と思うのだが…。
 昨年の暮れのこと、スーパーマーケットで買い物を済ませてキャッシャーの列に並んだ。十代、多分高校生と思われるかわいい女の子が一つずつ品物を確かめながらスキャンしてゆくのだが、最後に私の買ったキャベツを差し出して「これはセロリですか」と確認するようにたずねた。
 一瞬私は何か聞き違いをしたのか、冗談をミスしたのかと自分の耳を疑って彼女の顔を見返したのだが、ちょっと小首を傾げて私の返事を待っているあどけない表情をみて「それは、キャベツよ」と答えると素直に「サンキュー」と応えて合計金額を打ち出した。
 このキャッシャーがパートタイムとはいえ、セロリとキャベツの違いも知らず大手スーパーのレジで仕事をしていること自体疑問なのだが、彼女の母親は、台所でキャベツもセロリも調理したことがないのだろうか。いつも半加工、あるいは調理された野菜ばかり見ていればそれぞれの野菜がどんな形をしているか知らないことがあるかもしれない。
 相手が幼稚園児ならば「この丸いのがキャベツ、長くてスティックみたいなのがセロリですよ。ほら、香りも味も違うでしょ」と教えることもできるけれど、私のようなシニア世代よりはるかに鮮やかにコンピューターを扱い、インターネットを駆使することのできる十六、七歳の若者に、買い物ごっこでもあるまいし、喉まででかかった憎まれ口を飲み込んで店を出た。
 すべての子供たちが最高学府で学べるようにという教育局の謳い文句は素晴らしいが、日常の暮らしの中で必要な知識だけは、幼いうちから教えておくのが親や社会の責任である。
 新年早々、シニア世代からの愚痴第一弾でありました。
 明けましておめでとうございます。【川口加代子】

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