両陛下のベトナム・タイご訪問

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 このたび天皇・皇后両陛下は初めてベトナムを親善訪問されました。ベトナムでは国賓としてクアン国家主席夫妻の晩餐会に招かれ、手厚い歓迎に感謝すると共に、8世紀の昔から両国には文化や交易の交流があり、現在も18万人ものベトナムの人たちが留学生、看護師、介護福祉士などで在留していることを述べられ、今回の訪問が両国のさらなる交流と発展に資することを願われました。
 クアン国家主席も「両国の友好親善の重要な節目」と歓迎し、東日本大震災にも触れながら「甘苦を共にする誠実な友」と応じました。また国会議長との会見や建国の父、ホー・チ・ミン廟に供花、多くのベトナム人や現地日本人に会い温かいお言葉をかけました。タイでも新国王に手厚く迎えられ弔問を果たして帰国しました。
 両陛下はご訪問や人を迎える際には、事前に相手の歴史や情報を細かに調べ、温和な笑顔とともに全身全霊で寄り添い、心から相手の幸せと繁栄を願います。どんな国、どんな人たちに会おうとも、その誠実で思いやりに溢れた態度は変わらず、誰もが魅了されます。これは昭和天皇から引き継いだ、変わらぬ天皇としての態度です。
 太平洋戦争の末期には、国体の護持を巡って激論が続き、ポツダム宣言の受諾は天皇のご聖断を仰がざるを得ませんでした。占領軍が進駐した後も天皇の戦争責任と天皇制の維持は未定で、この事態を切り開いたのは昭和天皇のマッカーサー訪問と、ご自分の全存在をかけて責任を負う決然たる態度でした。敗戦の現実を受け入れながらも、やがて全国を巡る行幸を実施し、復興の先導役を務め、独立するや本来の皇室のあり方を確立した指導力は非凡なものでした。そして「天皇とは国民の安寧と幸せを祈り、常に国民とともにある」という基本は今上陛下にも引き継がれました。
 昨年の天皇のご高齢による公務への不安のご発言は、皇位継承の法制の問題として国会でも議論が続いています。2千数百年の伝統とともに、国民と共にあるという皇室の存在は、類いまれな外交力と国民の結束の要であり、日本の貴重な財産として末長い存続が願われます。【若尾龍彦】

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