あしなが育英会のロサンゼルス研修に参加した前田茉耶さん(左)と小栗綾華さん


日系社会の歴史や異文化学ぶ

 病気や災害などで親を亡くした遺児や、親が重度後遺障害で働けない家庭の子どもたちを物心両面で支える「あしなが育英会」のロサンゼルス研修が行われ、参加者の小栗綾華さん(桜美林大学リベラルアーツ学部3年)、前田茉耶さん(弓削商船高等専門学校商船学科4年)の2人が8日、羅府新報社を表敬訪問した。2人は2週間の日程でLAに滞在し、日系社会の歴史や異文化を学んだ。【吉田純子】

ホストファミリーの久山康彦牧師(右)と
 将来は国際関係の仕事に携わりたいと語る小栗さんは静岡県出身。もともと英語が好きで、普段生活しているあしながの寮にも海外からのインターンが訪れることもあり、彼らとの交流を通して研修旅行に興味をもったという。
 小栗さんにとって今回がはじめての海外旅行。「思っていたより緊張しなかった」と話し、得意の英語が生かせる機会になったようだ。
 将来の夢はケミカルタンカーの船長になることと語る前田さんは京都府出身。今回の研修旅行は視野を広げるため参加したという。
 滞在中は日系家庭を含む3家庭でホームステイを体験した。
 2人は7日にLAに到着。滞在期間中は、在ロサンゼルス日本国総領事館や全米日系人博物館(JANM)をはじめ、さまざまな場所を訪問し見聞を広めた。
 大学訪問ではカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)と南カリフォルニア大学(USC)を訪れ、米国のキャンパスライフを垣間見た。
ドジャー・スタジアムを訪れ野球観戦も楽しみ、ダルビッシュ選手の展示の前でポーズをとる前田さん(左)と小栗さん
 ロサンゼルス港にも足を運び、施設内を案内するクルーズに参加。将来船長を志す前田さんいとって港を見学できたことは貴重な経験になったようだ。
 ボイルハイツのサクラガーデンズ(旧敬老引退者ホーム)では3日間のボランティアを体験し、入居者と話をしたり、一緒に食事をして交流を深めた。
 スケジュールには観光も組み込まれており、ディズニーランドやドジャース・スタジアムを訪れ野球観戦も楽しむなど、充実した内容となっている。
 ロサンゼルス七夕祭りにもボランティアとして参加。二世週祭ではグランドパレードに消防車に乗って登場し沿道に手を振る。
 JANMを訪れた際、戦時中の日系人の強制収容所での生活や差別が生まれていく過程の話が印象的だったという。「日本で生活していたら日系人と接する機会はなく、知らないことが多かった。勉強になった」と小栗さん。「今回は収容所での生活についての話を聞いたが、それ以外の歴史も知ってみたいと思った。今まで知らなかったことも日本に帰ってからしっかり学んでいきたい」と力を込めた。
 前田さんは日系人への差別の話を聞き、日本ではあまり語られることのない日系人の歴史を聞き衝撃を受けたという。「今回のLA研修では普通の旅行では体験できないことができた。学んだことを今後も生かしていきたい」と話した。

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