大会では吟士一人ひとりが壇上に立ち、日頃の練習の成果を披露。吟士たちは仲間の吟詠に聞き入っていた

 榧本流米国錦龍吟詠会(新沢鹿龍会長)は24日、西羅府仏教会の社交ホールで「秋季吟詠大会」を催した。およそ20人の吟士のほか、同じく南加地区で活動する羅府国誠流詩吟会の吟士6人も参加。吟士たちは日頃の練習の成果を発揮し、交流を深めた。


がん治療を続けながら大好きな詩吟を続けている新沢会長
 同会の詩吟の特徴は日本語を読むように吟じ、節を付けること。師範たちはただ吟じるだけでなく詩を理解するよう教えているという。
 会誌斉唱のあと行われた大会第一部では西羅府、サンファナンド、オレンジ、オレンジ・コーストの各支部に所属する吟士たちがそれぞれ、日々練習を重ねた詩吟を披露した。
 第二部では、国誠流の師範、範士による来賓吟詠が行われた。続く第三部では錦龍吟詠会の指導者による吟詠が披露され、吟士たちは指導者の詩吟に静かに耳を傾けていた。
 「元気でいられる限り、詩吟を続けていきたい」と話すのは詩吟歴40年以上の新沢会長。2003年にすい臓がんを患いその後克服。しかし昨秋再発し、現在は化学療法を続けながら詩吟を続けている。
 今も毎週月曜日にコスタメサで生徒たちに詩吟を教えている。大会では「くよくよしないで気を強くもって生きることが大切。それは吟道にも通じる。一所懸命詩吟の練習に励み、詩の内容を理解し作者の気持ちになって吟じてほしい」と吟士たちに力説した。

指導者吟詠で原雨城作「古村の秋」を披露した吟道50年以上の秦湧叡さん
 同会では年々会員数が減少し、特に若い世代の入会が遠のいているという。それでも若い人に会えば詩吟を勧め魅力を伝えているが、今は詩吟自体を知らない人が多いという。
 一方、指導者吟詠で原雨城作「古村の秋」を披露した同会最高齢の秦湧叡さん(92)は詩吟を始めて50年以上だという。日本にいた学生時代も詩吟をしていたが、渡米後、当地でも詩吟が学べると知り、以来ずっと続けている。「良き指導者がいたから続けられた。詩吟が楽しいから今でも続けられます」と話し、今後も吟道を極めていきたいと力を込めた。【吉田純子、写真も】

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