「アリージャンス・忠誠」:好評のブロードウェーミュージカル

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ジョージ・タケイ主演、小東京でプレミア:振付師小山るみさん「ダンスは心で踊る」

http://www.rumioyama.com/

振付師の小山るみさん(左)とキャストメンバー

 小東京のアラタニ劇場で2月28日、ブロードウェーミュージカル「アリージャンス・忠誠」のロサンゼルスプレミアが開催された。日米文化会館(JACCC)前のレッドカーペットには、映画、テレビ関係者、プロデューサー、俳優、脚本家、ミュージシャン、ジャーナリストなどが多数訪れ、地元ボイルハイツ出身の日系映画スター、ジョージ・タケイ主演の舞台開幕に花を添えた。
 このミュージカルは、第二次大戦中に日系人として収容されたジョージ・タケイの実体験が基となっている。タケイから話を聞いたジェイ・クオが作詞作曲を、クオ、マーク・アサイト、ロレンゾ・シオンが脚本を担当し、2012年にサンディエゴで初上演された。その後、アジア人キャストが大半を占めるミュージカルとして初めて、2015年10月から16年2月までブロードウェーで興行。好評を博した。

 今回のロサンゼルス公演に振付師として参加した日本人女性がいる。広島県出身で、現在はニューヨークで女優として活動している小山るみさんは、この日のレッドカーペットへ姉の馬立鈴佳さんと連れ立って訪れた。二人はオープニングを迎えた喜びを笑顔で語ってくれた。
 「アリージャンス」のブロードウェー公演では「ミセス・タナカ」として出演するかたわら、日本舞踊の振り付けを手伝うなど、二足のわらじで奮闘した。オフ・ブロードウェーの「SAYONARA」では、傑出したダンサーに贈られるフレッド&アデル・アステア賞を受賞。その実績も念頭に、プロデューサーが「振り付けをやってみれば?」と背中を押してくれたという。演出のスネハル・デサイさんに自分のやる気を示した結果、今回の大役を任された。「キャストが踊っている間のすべての振り付け」がるみさんに任せられた役割。開演前のレッドカーペットでは、「ようやく、ノートを取らずにリラックスして見ることができる。練習の時とはまた違う、子どもの発表会を見る親のような気持ち」と表情を明るくした。

「アリージャンス・忠誠」LAプレミアのレッドカーペットでカメラマンにポーズをとる小山さん

 二人姉妹の妹。東京の大学で法学部を出た後女優の道を志すが、両親の承諾はなかなか得られなかった。劇団四季公演のミュージカル「ライオンキング」のオーディションに合格し、3年間の在籍期間中2年間ほど出演。その後、活動の場をニューヨークへ移し、数々の舞台を経験する。全米の舞台俳優組合であるAEAや舞台演出家と振り付け師の組合SDCのメンバーになるなど、エンターテインメントの世界で実績を積み、ようやく日本の家族にも認めてもらえるようになったという。鈴佳さんは妹の活躍を間近で見てきた一人。日本にいる家族の代表で度々渡米し、るみさんをサポートしている。
 アラタニ劇場の舞台はブロードウェーよりもやや小さめ。「(舞台美術デザイナーの)セ・ヒュン・オーさんが、とてもシンプルなセットを建ててくれた上に、ディレクターのデサイさんは、わたしが振り付けしやすいように舞台を十分に空けてくれた。真っ白いキャンバスを用意してもらった形で、そこを最大限に生かしたので、舞台の大きさは問題にならなかった。役者たちが隅から隅まで動いて十分にエネルギーを使えるように、配慮しながら振り付けをした」

上演後、サミー役のフォングさん(右)とともに笑顔を見せる主演のタケイさん

 ただ、「ブロードウェーより出演者が少なかったという点では少し苦労した」とも語る。「人数が少ない分役者の個性を生かして、それぞれが一番輝く動きをつけることで舞台をいっぱいにしようと考えた。役者たちには実際に踊ってもらい、その動きが彼らに合わなければすぐに変更していった」
 15人のキャストは、るみさんにこうも指導された。「ただ踊るのではなく、心で踊る。役として感じ、何を思って踊っているのかを大切にすること」
 ダンスは心が感じていることの延長。満ち足りた感情が自分一人で舞台を満たせるくらいのエネルギーをもたらす。一人ひとりがその状態で踊れば、舞台は何倍にも輝く。
 粘り強い性格だと自認する。「諦めず何度も踊ってもらった。キャストたちは嫌がらず、よくついてきてくれたと思う。I’m so proud of them. 」
 第一次世界大戦中、日系アメリカ人強制収容所へ入れられたキムラ家を中心に語られる苦難のストーリー。祖父のカイト・キムラにジョージ・タケイ、父親のタツオ・キムラにスコット・ワタナベ、長女ケイコ(ケイ)・キムラにエレナ・ワング、長男イサム・キムラにイーサン・リ・フォングが扮する。
 プレミアを訪れた観客の多くは、この強制収容所時代に何らかのつながりを持つ人たちだった。「我慢」することの大切さを1世から引き継ぎ、どんなに理不尽な状況にも耐え抜いた日系アメリカ人。市民でありながら国への「忠誠」を疑われ、署名を強要された同輩の姿を涙ながらに鑑賞した人も少なくなかった。悲劇の中にもラブストーリーと家族愛、ダンスパーティーや盆踊りなど、明るくほほ笑ましい場面がテンポ良く進む。ケイやイサム、ケイの恋人フランキー・スズキ(エイマルド・キャブリング)、イサムの恋人ハナ・キャンベル(ナタリー・ホルト・マクドナルド)の歌声は胸を刺すように伝わってくる。楽曲が終わるとそのすばらしさを再確認するかのように、毎回強い拍手が贈られた。アラタニ劇場でかつて見られなかった規模のミュージカルに、ぜひ足を運んでもらいたい。
 公演は4月1日まで。チケットと詳しい情報は、AllegianceMusical.com まで
小山るみさんのウェブサイト
www.rumioyama.com
(麻生美重)

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