月明かりの下で

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 大きな北斗七星を見た。これまでに見たことのない大きさの。
 先日、知人のアーティストグループが、グリフィスパークで深夜にアートプロジェクトを催した。往復1・5マイルの行程で山登りをした先に、水場があった。そこで、暗闇の中で参加者が与えた刺激に反応して光を放つ水に歓声を上げる。老若男女、中には妊婦さんや子どもも、3晩で数百人が体験した。
 漆黒の暗闇の中、ランタンのほの暗い明かりを頼りに山を歩く。これだけでも、普段できない体験なのに山の上で靴や靴下を脱いで水遊びをする。読者の方々には、ちょっと想像しにくいのではあるまいか。
 この間の休憩時間に空を見上げたら、真上に北斗七星が大きく見えた。LAで初めて見る北斗七星が今まで見たことのない大きさで見えた。山の上で星の近くにいることを実感した。深夜0時を過ぎると月が山の端から顔を出す。徐々に大きくなって、辺りを照らす。月明かりはランタンがなくても顔の判別も楽にさせる。遠くの車のライトや街灯がきらびやかでも、山の上までは届かない。街灯の何分の一もない月が照らす明かりが山全体、もっと広範囲に照らす。街灯がなかった昔、夜道を歩けたのがよくわかった。
 山の上で、プランクトンが放つ青い光と戯れて、思わず発せられる歓声で静寂がひととき破られる。科学者がこの光はコミュニケーションツールだと言ったというが、うなずける。
 大自然の中でのアート、風を感じ星や月の光を頼りに自分の足で登り、その足と手で水に触れ、冷たさに一瞬ひるむ。五感を刺激するアート、自然と融合というより、直に自然と触れ合う手法を彼らは何度か試している。参加者は繰り返し来ているのか、全く別の人たちかは分からないが、確実に多くなっている。喧騒とスモッグの中での生活に、釣り、ハイキングなどの野外活動は盛んである。自然を求める欲求に応える形のアートを探求しているのではないかと思う。
 深夜に山歩きなど、したくてもなかなかできることではない。がさがさと何か動物が出てきそうな音がときどきして、こわいと思ったこともあったが、楽しみの方が勝った夜だった。【大石克子】

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