大役担う五輪ボランティア

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 1890(明治23)年、通信記者として日本にやってきた英国人ジャーナリストで作家のパトリック・ラフカディオ・ハーンは日本について綴った著書「日本の面影」の中でこんな言葉を残している。「彼ら(日本人)の素朴な礼儀正しさは、けっしてわざとらしいものではない。彼らの善意は、まったく意識したものではない。そのどちらも、心から素直にあふれ出てきたものなのである」
 ハーンは東京帝国大学(現東京大学)の講師などを経て、後に帰化し小泉八雲と名乗る。「耳なし芳一」など日本各地の伝話などをまとめた「怪談」の作者としても知られる。
 外国を訪れ、そこで接した人々の優しさや親切な対応に人は心打たれ、その国の国民性を知る。取材などで日本を訪れた米国人に感想をたずねると、よく聞くのがこの答えだ。「日本の人々は親切だった―」。
 多くの訪日客が見込まれる2020年の東京五輪も各国の人に日本を知ってもらう絶好の機会だろう。
 9月下旬に大会をサポートするボランティアの募集が行われた。この大会ボランティア、当初は人数が集まらないのではと懸念する声もあった。ボランティアなので無給、交通費、宿泊費も自己負担。さらに五輪が開催されるのは夏真っ盛りの7~8月。酷暑の中、1日8時間の活動をするとなると大変なのは言うまでもない。
 しかし22日までに5万2249人の応募があったという。大会ボランティアの募集人数は8万人だが、応募のための特設サイトに登録した人は9万2920人になっているという。
 批判の声もある中、応募する人が多いというのはそれだけ五輪に少しでも携わり貢献したいと思う意欲ある人がいることの表れだと思う。
 世界各国からの訪日客も見込まれるため、英語が話せるスタッフの存在も重要だ。訪日客には日本のおもてなし精神に触れ、さらに日本を好きになってもらえたら嬉しい。来場者とも接するボランティアはその大きな役目を担う。五輪では、ボランティア一人ひとりが日本代表だ。日本に魅了されますます好きになってくれる人がひとりでも増えることを願う。【吉田純子】

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