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また一つ年を重ねて

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 新年を迎えると、すぐに誕生日。毎年、慌ただしい中で過ぎていくので、今年は特別なこともあって、ラスベガスに行くことにした。塔のあるホテルの塔にあるレストランで食事をすることにした。
 天気が心配されたが、回転するレストランで不夜城を一周しながら一望。まばゆい輝きの夜景は見応えがあったが、人工光に惑わされている感があった。日中の風景も見たいと思って再度一周。キレイだけでなく、取り壊された残骸や現実の生活が垣間見えた。人が生きていくのに厳しい自然の砂漠の窪地に造った街。そこに、非日常を求めて集まる多くの人々。自分もその一人。俯瞰したところにいる自分を見た気分になった。
 新年を迎えると、今年の抱負や夢が話題になるが、とりわけ何をということなどこれまで持ったことがない。まず、60半ば過ぎまで生きるなど想像しなかった。
 現在の私を知る人たちには信じ難いかもしれないが、やっと弱い産声を上げて、虚弱で幼稚園、小学1年を半分も通えなくて、心配した親が虚弱児の療養施設に入れたほどだった。医療機関とは縁が切れない子供時代を過ごして、将来の夢を見ない癖がついたのかもしれない。何になりたい、したいがないから、高価な物や地位にも執着がない。ただ今ある現実に向き合って、求められることに精いっぱい応えようとしてきた。それで、いろいろな出会いや学ぶことがあり、無形の宝を得ることができた。
 塔から見下ろしていて、「心身脱落」を思った。道元禅師が悟りを開くきっかけとなった言葉。「私が・」「俺が・」という自我意識を全部捨ててしまえという心身脱落。本を読むにしても、理解の浅い、深いで解釈が異なるし、会話でも言ったことが全く別のことに解釈されてぎくしゃくもある。「私が正しい」という自我意識をなくして、知恵を身に付けられたら生きやすいと思う。
 無事に新年を迎え、無事に年を重ねる、当たり前のことと考えがちだが、いつまでも続くことではない。今年も迎えられたと感謝したい。
 今年は亥年。ハートの形は猪の目といわれ、昔から刳り方に用いられ魔除けとされた。ハート形が重宝される年になるかも♥【大石克子】

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