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アマゾンのスフィア

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 シアトルの中心部近くに、不思議な建物が出現した。透明の巨大な球体(スフィア)が3つ。 シアトル市街地に一大オフィス群を創出中のアマゾン社が、その中庭ともいうべき場所に昨年誕生させた巨大ドーム、「ザ・スフィアズ」だ。
 遠くからでも、「あれは何?」と気になる外観。アマゾン社ツアーに参加するとスフィア内部に入れるほか、第一・第三土曜日には一般公開されている(いずれも予約制)。ただし、アマゾン社員のゲストとしてならば平日に入館できるというので、知人に同行を頼んで先日スフィアを訪れた。
 アマゾン本社ビルに面した3つの巨大な透明球体は、中でつながって1つになり、地上4階地下1階の大きな空間を創り出していた。
 風の冷たい日だったが、セキュリティーチェックを経て一歩入ると、そこは日中はカ氏72度(セ氏20度)湿度60%に保たれた別天地。4階まで吹き抜けの中央部の壁は一面の緑で覆われ、館内は何種類ものベゴニア、オーキッド、巨大な羊歯、食虫植物…と、珍しい木や草、花でいっぱい。
 2階は南北アメリカ大陸などの植物が、3階はアジア・アフリカ・ヨーロッパといった地域の植物がむせ返るような緑を見せている巨大グリーンハウスだ。植え込まれているのは、世界30カ国からの植物4万本といい、水槽には熱帯地域の川魚も。各階にガイドがいて興味深い植物を紹介し、質問に答えてくれる。
 そんな緑の中に点在するのが、カフェテリアや居心地の良い椅子・テーブル、会議室。仕事をする人、瞑想にふける人と、利用法はこれもさまざまだ。吊り橋やツリーハウスを連想させる一画も設けられ、アマゾン社が社員のために創り出したスフィアは、なかなかに興味深いものだった。そのうち、アマゾンの企図するように、スペースニードルに匹敵するシアトル観光名所にもなるだろう。
 スペースニードルは、1962年シアトル世界博のシンボルとして生まれた回転展望塔。それから約半世紀後に登場した「ザ・スフィアズ」は、今シアトル牽引中のIT産業のシンボルか。シアトル観光の折にでも一度どうぞ。【楠瀬明子】

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