移民問題と日系人デモ

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 中南米からアメリカ入りした難民らを収容するテキサス州ディリーの施設前で3月末、日系人のグループが抗議デモを行った。LA在住の友人がこのデモへの応援をSNSで呼びかけており、私も見守っていた。
 トランプ政権下で対移民政策が厳しくなる中、同施設では子供が病気で亡くなる惨事や、親子が引き離される事態が起き、被収容者の人権が案じられる。ディリーの収容施設から約45マイル先には、第二次大戦中、日系人ら約3000人が生活を強いられたクリスタルシティー強制収容所があった。
 デモ参加者の中には、クリスタルシティー収容所で過ごした人もいた。第二次大戦中、米国籍があるにも関わらず「敵性外国人」のレッテルを貼られ、不法移民さながらに強制収容された日系人らの体験が繰り返されることのないように、すべての人が持つ人権の尊さを訴えるデモは、説得力のあるメッセージを発したと思う。
 そんな中、このデモの様子をレポートした日本の某テレビ局のネット記事を読み、そのコメント欄を見て驚いた。ネットのコメント欄には批判的な言葉も多いことは分かっているが、「当時のことはアメリカは謝罪済みなのだから、それを蒸し返すデモはおかしい」「第二次大戦中の日系人強制収容と今の不法移民は別問題。日系人が不法移民の政策に対してデモを行うのは不思議」などのコメントがあふれていて愕然とした。
 しばらく読み進めてやっと、「ここのコメントを見ていると、戦時中アメリカで行われた日系人に対する強制収容の事実を知らない日本人が多いことが分かる。だからなぜ彼らがこのような抗議行動をとっているのか、分からないのだろう」とのコメントに出会った。
 テキサス州でのデモに参加した一人がフェイスブックに書いていた。「今、日系人であることを心底誇らしく感じている」。戦時中、命をかけて人権を守った日系人の体験は今、若い日系人らの誇りとなり、今後もアメリカ国内外で広く知られ、人権の大切さをリマインドしてくれることを願っている。そして、亡命を希望して不法入国せざるを得ない多くの移民の人権が守られることを祈りたい。【平野真紀】

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