新女王にジュリ・ヨシナガさん決定:「日系社会の若い女性を応援したい」

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コロネーションボウル

戴冠しステージを一周するジュリ・ヨシナガ新女王とコート(後方)

 第79回二世週祭の「コロネーションボウル」が10日夜、小東京のアラタニ劇場で盛大に開催され、米国日系レストラン協会(JRA)推薦のジュリ・ヨシナガさん(23)が2019年度の新女王に輝いた。
 和太鼓が轟く中、新女王の名前が響きわたると、ヨシナガさんは一瞬息が止まったように立ちすくんだ。次の瞬間我に返り、驚きと喜びを交えた表情に。仲間の候補者たちと手を取り合い祝福を受けた新女王はしっかりと正面を向いた。【麻生美重、写真=永田潤】  
 
 ファースト・プリンセスには、ベニス日系コミュニティーセンターとウエストロサンゼルス日系市民協会推薦のミア・マサエ・ロペスさん、ミス・トモダチにはオレンジ郡日系評議会推薦のカラ・チズル・イトウさんが選ばれた。

2019年度の新女王に決まり、祝福を受けるジュリ・ヨシナガさん(右から2人目)

 今年は7人の候補者が参加。7人は日系社会を代表するため、日本文化をはじめ、日本語、生け花、茶道、着物の着付け、日本舞踊、歩き方、スピーチ、メイクアップなどを習得。3カ月間特訓を重ねた成果をステージ上で余すところなく発揮した。
 坂東秀十美師の振り付けによる日本舞踊では全員が初心者とは思えないほどの扇子さばきを見せ、最後のポーズを決めると会場は拍手喝采に包まれた。

ミス・トモダチに選ばれたオレンジ郡日系評議会推薦のカラ・チズル・イトウさん

 続く自己紹介では、各候補が事前に準備したスピーチを堂々と語った。
 ミス・トモダチに選ばれたイトウさんは、バスケットボールチームの中で一番背の低かった自分を鼓舞し練習に励んだ結果、大学チームでプレーすることができたと語り、印象的な自己PRを残した。
 会場に集まった家族や友人、推薦団体の応援団からは盛大な拍手やエールが飛び交い、イベントを盛り上げた。
 第1部の終わりには、6度のグラミー賞を誇る「Earth, Wind and Fire」の元ギタリストでボーカリストのシェルドン・レイノルズが登場。バンドを率いて、EWFのヒットナンバー3曲を演奏した。観客らは緩やかに盛り上がりを見せ、最後は立ち上がってリズムに乗り、息を弾ませた。
 司会は今年もABC7のニュースアンカー、デイビッド・オノさんと元二世週祭女王で女優のタムリン・トミタさんが務めた。
 二人は舞台に登場するやいなや携帯電話でセルフィーを撮影。トミタさんの照明付き携帯カバーを「ハリウッド女優らしい!」とオノさんが観客に披露。互いの年齢をネタにするなど終始会場を笑いで包み、2時間以上に及ぶ二世週祭最大の式典を成功に導いた。

司会を務めたABC7のニュースアンカー、デイビッド・オノさんと元二世週祭女王で女優のタムリン・トミタさん。トミタさんの携帯カバーを観客に見せるオノさん。

 サンフランシスコとホノルルの各日系社会と、隣のチャイナタウンからも女王とコートが参加し、イベントに花を添えた。各都市との交流は女王とコートの最も大切な役割とされる。
 今年の審査員は、元リトル東京サービスセンター勤務、現在はコンサルタントとして活動する樋口博子さん、エドガー賞受賞の日系人作家ナオミ・ヒラハラさん、Keiroの金森ジーンCEO、元二世週祭女王のステラ・シズカ・ナカダテ・マツダさん、日本航空ロサンゼルス支店長でJBA会長の中島喜一さんらが務めた。
 採点の配分は、式典中に別室で行われる5分間の審査員インタビューが35%、コロネーションでのパフォーマンスが60%、この日までの活動に対する評価が5%となっている。これらの評価を総合し、加州日系地域社会と日系米人を代表する大使として最もふさわしい候補者が、女王とコートに選出される。
 司会者からの手強い質問を受ける、候補者にとって最大の難関がやってきた。「二世週祭のコロネーションを今後も継続させるその意義は何か、また次世代の候補者に伝えたい助言は」。この二つの質問をオノさんとトミタさんは淀みなく読み上げ、候補者に投げかける。一度聞いただけでは即答できないような内容だ。候補者の中には「もう一度読んでください」とリクエストする者も。皆、数秒頭の中で反芻(はんすう)し答えが決まると、一歩踏み出して答える。うまく回答できた候補者には会場から「Good Job!」との声も上がった。
 ファースト・プリンセスに選ばれたロペスさんのパフォーマンスは、表情、 間の取り方、存在感など全てが印象的だった。

ファースト・プリンセスに選ばれた、ベニス日系コミュニティーセンターとウエストロサンゼルス日系市民協会推薦のミア・マサエ・ロペスさん

 エントリー番号最終のヨシナガさんが質問に答える番が来た。先月行われた二世週祭開幕式で女王候補がお披露目された時から、ヨシナガさんのコミュニケーションスキルは際立っていた。「たくさんのボランティアの力で79年も続いているこのイベントに若い女性が関わるのはとてもすばらしいこと。二世週祭コロネーションを継続させる意義はそこにある。将来の候補者となる若い女性には、みんなで力を合わせて作り上げるこのすばらしいイベントにどんどん参加するよう応援すると伝えたい」。的確かつ簡潔に堂々と答えたヨシナガさんが審査員の心をつかんだ。

祖父に捧ぐ女王の栄誉「日系の歴史を後世に伝える」

 輝くティアラを戴冠し真紅のガウンをまとった新女王ヨシナガさんは、「(自分の名前が呼ばれた時は)本当に驚いた。ありえないと思っていたから」と顔を紅潮させながら語った。「(2015年に亡くなった)祖父(ジョージ・ヨシナガ)が小東京や日系社会、二世週祭のことをよく話してくれた。この栄誉を祖父に捧げたい。私にとっての小東京は、日本を体験するところ。地域社会のためにボランティアが集まり活動する場所。この日系の歴史を後世に伝えるよう努力したい」と述べた。
 記者が「あなたのおじいさんは羅府新報の英語紙面で長年コラムを執筆していた。明日の見出しに孫の名前が載っているのを見てどう思うでしょう」と質問すると「祖父はずけずけと物を言う人だったから…何というでしょうね。でも女王になれたので喜んでくれると思う」と笑顔を浮かべた。
  日本人の母と日系3世の父の間に生まれた。世間一般の子ども同様アイデンティティーに悩んだ時期もあったという。そんなヨシナガさんは、自身を日系2世と4世の両方と答える。 

女王に就任し、フォトセッションで無数のフラッシュを浴びるヨシナガさん

 現在はワーナーブラザーズ・エンターテインメントグループで多文化を対象にしたマーケティングの仕事をしている。今後もこの分野での業務を継続しながら、将来は意思決定のできる地位につき、コミュニティーの多様性を大スクリーンに反映させたいと願っている。 
 母の美文さんは「とにかくびっくり。まさか娘が選ばれるとは思っていなかった。今朝、体調が悪いと本人から聞いていたので、『うどんなどの消化の良いものを食べて。油っこいものは避けて』と(携帯電話で)テキストを送り続けた。舞台で倒れませんようにと祈っていた」とコロネーションの間も娘の体調を気遣っていたことを明かした。4月にJRAの推薦を受け、仕事とコロネーションのリハーサルを3カ月間両立させてきた。疲れが溜まっていても不思議ではない。「これからは今まで以上に忙しくなるが、地域社会のためにがんばってもらいたい」と大役を授かった娘に美文さんは期待を寄せた。父のティムさんも「びっくりしている。とても信じられない」と驚きを隠しきれない様子。
 ヨシナガさんを推薦したJRA柚原章会長は、「今年20周年を迎えたJRAにとって大変嬉しいニュースとなった。さっそく会員に報告する」と笑みを浮かべた。「毎年自信をもって候補者を送っている。ファースト・プリンセスやミス・トモダチは最近もいたが、女王は久しぶり」「(ヨシナガさんは)のほほんとした性格で、どんな時でも落ち着いている。20周年のJRAの宣伝なども含め、これからいろいろなことを発信してもらいたい」と力を込めた。
 2020へ向かうこれからの1年間、新女王とコートは南加日系社会の代表としてサンフランシスコ、ハワイ、日本を周り、各地の日系人や日本人と交流を深める。

坂東秀十美師の振り付けによる日本舞踊で初心者とは思えないほどの扇子さばきを見せる7人


2019年度の女王とコート。左からマリカ・ケイト・ゴショールさん、エリエル・メイ・イマモトさん、ミス・トモダチのカラ・チズル・イトウさん、ジュリ・ヨシナガ女王、ファースト・プリンセスのミア・マサエ・ロペスさん、エミリー・ユイコ・イシダさん、ケイラ・サチコ・イガワさん

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