二世週祭吟詠大会:南加詩吟連盟

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6流派の精鋭が圧巻の吟詠

南加詩吟連盟
二世週祭吟詠大会

 詩吟6流派で組織する南カリフォルニア詩吟連盟(仁田尾国康理事長=国峯流詩歌吟詠峰月流吟舞尚道会)は今年も二世週祭りイベントの一環として詩吟大会を開催した。8月25日、モンテベロ市のクワイエットキャノンに着任したばかりの在LA日本総領事館の武藤顯総領事夫妻をはじめとする来賓を迎え、100を超す数々の吟詠を披露した。

感謝状と共に贈られた吟号の「龍水」の額を掲げる前理事長の観水流米国錦友吟詩会の前田龍水師

 今年で29年目を迎えた同連盟は、国峯流詩歌吟詠・峰月流吟舞尚道会、日本国風流詩吟吟舞北米羅府国風会、榧本流米国錦龍吟詠会、日本國誠流詩吟羅府國誠会、国総流詩吟会、観水流米国錦友吟詩会、以上6団体で組織され、 日系社会のみならず詩吟を通して米国および世界への日本文化普及に努めている。
 当日のプログラムは第1部各流派会員による吟詠に始まり、式典、昼食を挟んで各派代表吟士による「構成吟・あゝ大西郷」、さらに第2部吟詠に続いた。全体は午前9時から午後3時半まで行われ、出席者は163人にのぼった。
 式典では前理事長を務めた観水流米国錦友吟詩会の前田龍水師に感謝状が贈られた。二世週祭女王とコート一行も来場し、笑顔を振りまいた。来賓祝辞の中で、先月16日に当地に着任したばかりの武藤総領事は、日米両国は政治経済の面で共通の基本的価値観を共有し強固な関係にあると言えるが「その根底を支えるのが文化芸術教育面の草の根レベルの交流だと確信している」と述べ、これからの在任中に「できるだけ日系コミュニティーの役に立ちたい」とあいさつを結んだ。

祝辞を述べる着任したばかりの武藤顯総領事

 南加日系商工会議所の川田薫会頭は高校時代の漢詩授業の思い出を、ユーモアを交えながら話した。授業が終わる5分前に突然、風采のあがらない教師が朗々と、教室の隅々に響き渡る声で漢詩を吟じ始め、「驚いた。教科書通りに教えられていたら思い出すこともなかったはずのその漢詩を、今でも覚えている」と初めて詩吟に触れた青春の日を振り返った。
 米国における詩吟の活動は歴史が古い。戦時中の収容所でも愛好され、収容所で産声をあげた会派もあるという。だが、昨今は 他の日系諸団体と同様に会員の高齢化・減少化の悩みがあり、それを案じて各派合同の大会を催すようになったという。結果として各派の師範級が集結した大会はレベルが高く聞き応えがあり、各会派の生徒にとっても実力の高い吟士の吟詠に触れる貴重な勉強の場となっている。
 構成吟「あゝ大西郷」は西郷隆盛の一生を21人の吟士が16の詩文でつなぐ75分の大作だ。 詩文の間にナレーションが入ったり、吟詠に琴や尺八の伴奏がついたり、スクリーンに映し出される写真が内容を補足するなど、

「あゝ大西郷」の第11番 「兵児の謡」を素晴らしい声量で朗々と吟じる国誠会の高橋國洲さんと河野國剛さんは

通常の吟詠を1人で行なうのに対し構成吟は舞台芸術性と演出感が高められている。 西郷南洲(南洲は隆盛の号)の詩文を中心に、徳富蘇峰、末松青萍(末松謙澄の号)、乃木希典など、近代日本史の著名人が作者名として並ぶ。政府軍に敗れ城山で生涯を閉じた西郷の最後を詠んだ「城山の露」(雨宮国風作)を国風流の荒木国漳さんが吟じたフィナーレでは、後方に6枚の画仙紙が運び込まれ、荒木美沙子師が吟詠に合わせて、その文言を見事な書で表した。各派の精鋭による吟詠は圧巻であった。
 難しい漢字が並ぶ4行詩が、素晴らしく鍛えられた喉で吟じられると、まったく違う顔になる。文字に生命が吹き込まれ、音は心地よく響き、目を閉じて聞き惚れることができる。詩を声に出して吟ずると、吟じ手は自ずとその意味がわかるのだそうだ。吟士が繰り出す感情と音のバイブは心に染み入り、聞き手に素晴らしい感動を与える。人間の喉は素晴らしい力を秘めていると知った。
  早朝から長時間の大会だったが、吟士はよどみなく登壇し、会は小気味好く進行した。大会目次に記された詩文の数は構成吟の内容を含めて実に111篇。スクリーン上に詩文の作者と内容が次々にタイミング良く投影され、運営は大変スムーズで、各関係者の尽力とチームワークに感服したことも付け加えたい。
【長井智子、写真も】

構成吟「あゝ大西郷」を終えてカーテンコールであいさつする吟士一同

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